■三人で☆珍道中(5)

本当は彼は私なんかが一生かかっても召還なんか出来ない人型の上級魔族で、魔力消費が追いつかないのは当たり前なのだ。ならどうしてそんな実力不相応な彼を従える事が出来たのかと言うとそれは本当に偶然が偶然重なっただけの話。

偶然入った洞窟で偶然にも上級魔族を呼び出せる魔法陣を手に入れて、ダメ元で召還してみようと魔法陣を書いた部屋が魔力増幅装置が偶然起動していた部屋で、彼はその装置で増幅された私に何故か呼び出されてしまったのだ。本来ならそんな実力に見合ってない魔術師には魔族は従わないって聞いていたんだけれど彼は何故か私を気に入ってくれて【使い魔】になってくれたという次第。

二人になると能力も彼の半分以下に落ちてしまうのだけれど魔力の消費がかなり抑えられるし、彼らは例の特殊な能力を持ち合わせているので普段は二人になってもらっていることが多い。

それにぺーぺーの私が請け負う仕事なら彼らがいればほとんどなんとかなっちゃうから必然的に彼の登場回数が減るのは当たり前で…彼の方がとっても役に立つというのは重々承知をしているのだけれどなかなか彼を出す機会もなくてちょっと心苦しかったりする。

「あ、あのね。リュージュ…」
「ああ、わかってます。あれの始末ですね」
彼は説明をしようとする私を手で制すと、暴れ回っている怪物をちらりと横目で見た。

「出来そう?」
「手負いですし、まっ、大丈夫でしょう。ささっと片づけてきますよ」
「極力魔力を消費しない方向でお願い」
「はいはい。わかりました」

彼は軽く返事をしてすぐに姿を消した。彼の素早い動きを目で追えない私はサイクロプスの方に目を移す。見ると同時に、目の前で暴れていた巨人の頭がごとりと地面に落ちた。

早っ。

頭を失った胴体は惰性でしばらく回りを暴れながら動いていたけれどその内崩れるようにして地面に倒れ込んでいった。

「はい。ただいま」
声をかけられて気づくとリュージュはもう戻っていた。

「お疲れ」
「いえいえ。あのくらい大したことありませんよ」
こともなげに言って、私の耳元に口を寄せる。
「で、倒して早々なんですけど、魔力補充をさせて頂けます?」

あう?

※魔力補充。
エッチをして【主人】(マスター)から【使い魔へ】魔力を補充をする事。

「え?何で?魔力使ってないでしょう?何でそんな簡単に減る訳?」
「二人の時にすでに空腹だったでしょう?」

確かに。

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