■ちょっとした仕事(1)

くちゃ…くちゃ…
ちょっと気を抜くと滑っちゃいそうなぐらいぬめぬめとしけった道を真っ暗な中ランタンの光を頼りに慎重に歩いていく。

「…確かここらへんって聞いたんだけどな…」
森の奥の洞窟の中…ここに何やら変なものが住み着いてしまったので一度調査をして欲しいと言われてやって来た。


「…心細いなぁ…一人で仕事するのって初めてなんだもん」

私は盗賊(と書いてスカウトと呼ぶ)で本来こういった仕事は一人でしないのだ。だってまだ冒険者になって日も浅いし、素早くもないし…器用でもない。唯一の取り柄は身体が小さくて狭いところとかに潜り込んだりする事が出来る…ぐらい。それで何で盗賊なんてやっているんだと言われると、お兄ちゃん達がなれって言ったから。でもま、今までそれで何とかやってこれた。お兄ちゃん達がいてくれたから。私たちはすごく仲のいい兄弟なのだ。


私達が洞窟に来てみると入り口がひどく狭く、体格の良いお兄ちゃん達には到底中に入る事の出来ない広さだった。

「大丈夫。お前なら出来る」
「そうそう…調査だけだから大丈夫だよ♪」
なんて無責任に頭をぽんってしてお兄ちゃん達は無理矢理ここに私を押し込んだのだ。
何がいるかわからないのにそんな仕事押しつけないでよね。すごく不安。


しばらく歩いているとぷ〜んと甘い匂いがして、何だろうって鼻をくんくんしてそっちに向かっていくとぬちゃぬちゃって妙な音がしてきた。

何かいる…
あ…あそこで何か動いてる。
そぉっと…ゆっくりと…近寄って…

「へ?」
足首に何かが触れた。
足が何かにぐいって引っ張られて、すてん…って転び、そのままずるずると引きずられて音のする方に寄せられる。

うわぁ…床がこけでぬるぬるして背中が気色悪い〜。

そのうち、ふわって身体が浮いて…

え?え?え?両足首を握られて逆さにされちゃった。
誰?
あっ…後ろにぐちゃぐちゃ音を立ててるのがいる。そいつが私の足首を持ってるんだ。

背中を仰け反らせて後ろを見ると…

げっ!
そこには何だかよくわかんないにょろにょろしたものがいっぱいいた。

うわわわわ〜〜!気持ち悪い!気持ち悪い!いやいやいや〜!
とにかくこの足を掴んでるの何とかしないと…

「ひゃん!」
足をぐいって開かされた。

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