■花を咲かそう(1)

「お、お兄ちゃん。花ってあれの事?」
私は目の前にある巨大な蔓の塊を指さした。

「ええ。依頼主の話だとあれですね」
「でもさ、あれまだ花咲いてないよ?」
「ほら、あそこに大きな蕾が見えるだろう?」
「蕾を取っちゃっていいの?」
「ああ、そこまで大きくなっていたら大丈夫だよ」

「「ほら、行ってこい」」
ぽんと二人に背中を押された。

………。
本当にあの花でいいの?依頼人はもっと可愛らしい花だって言ってたよ?あれはどう見ても巨大植物にしか見えないよ?

私は疑問に思いつつも、その花の生えている岩場まで登る。

やっぱりこの蕾は大きい。私の身長ぐらいある。絶対この花じゃないよ。

「ねえ、お兄ちゃん。この蕾、すごく大きいんだよ。間違いなんじゃないの?」
「いいんだって。とりあえず採って行けばいいからさ」

とりあえずって…簡単に言わないでよね。

溜息をつくと、私は蕾の根元に近よった。そして、太股のベルトにさした短剣に手を伸ばした瞬間、しゅるりと足元で音がして、何かに足を掴まれた。
「え?」
身体を持ち上げられ、蔦の塊の中に突っ込まれる。
「えええ?」

蔦が身体に絡んで来たぁ〜!

「お、お兄ちゃん!」
慌てて後ろを振り向くと、二人のお兄ちゃん達は遠くの方で座り込み、落ち着いて私を眺めてる。

ななな…何でぇ〜!?

「そのまま大人しくしてろよ」
「ええ〜?」

蔦はどんどん絡みつき、身体の自由を奪っていく。足に絡んだのは、私のスパッツを脱がし太股に絡み、股間を露わにするように足を広げた。そして他の蔦はそこに向かって一斉に伸びてくる。

や、や、や〜!大事なところに入って来る〜!大ピンチ!!

「おにいちゃぁん!助けてよぉ〜!」
「大丈夫だって。種を植え付けてるだけだから」
「な!?」

たたた…種ぇ〜?蕾を採るんじゃなかったの〜!?

「種って?種って?」
「うん。そのままの意味。その植物の蕾みたいになっているヤツは単なる飾りって言うか囮みたいなものでね。それを見て近づいてきた動物に種付けする寄生植物なんだ」
「寄生植物〜!?」

寄生って、寄生ってあれでしょう?身体を栄養にして育っちゃうっていう。大丈夫なの?危険はないの?

ちらりと足元を見ると、熊か何かの干からびた毛皮が見えた。あれが今の宿主だったりして…。
ごくんっ。

「──という訳だからきっちり種付けをされて来なさい」
「お兄ちゃん達の馬鹿〜〜!」

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