■用心棒に妹革拘束(1)

「お兄ちゃん?ちょっと待ってよ。私、用心棒なんて出来ないってば!」

という私の抗議をまるで聞かずにお兄ちゃん達は依頼人の玄関先に私を置いていってしまった。

しかも…革で出来た、ほとんど身を隠してるんだかどうだかわからないような服っていうか革の帯で胸とまたをTの字の形で隠しているだけの代物だ。しかも猿ぐつわまでしっかり付ける念の入れよう。

「んぐっ…んな゛っ…がふっ…」
なんでこんな服着せられて…いや、着せられているのはまだいい。どうして手と足をセットで一緒に拘束されてるの?

「ふぐぅ…ふぐっ…んんんっ…」
こんなんじゃただでさえ非力でどうしようもないのに、用心棒なんて出来る訳ないじゃない!お兄ちゃん達何考えてるのよぉ〜!!!


がつんっ…
何かが身体に当たった。

「むがっ(痛!)」
「お?なんだこりゃ?」
覗き込んでランタンの炎で私を見る誰か。

あ、この人の顔見覚えがある。賞金首のヨゼットだ。確か人殺しを生業にしているって…。この人が依頼人を狙ってたんだ!

「他の警備が厳重だったから隙をついて玄関に回ったが…何をやってるんだお前?」
「ふぐぅ!ふう!ふう!」
お兄ちゃん!来たよ!来たってぇ!!

「ひょっとして番犬のつもりなのか?手足縛って口塞いでたら全然役に立たないだろうに。こいつを置いていったヤツは馬鹿か?」

私だってそう言ったんだよ?これじゃまるっきり役に立たないって!なのに…なのにぃ!!

ふわっと身体が浮いた。
「ここに落ちてるって事は持って帰っても文句は言われないよな」

は?私落ちてた訳じゃないよぉ〜!!


私はそいつに小脇に抱えられて近くの路地に運び込まれた。

「今猿ぐつわ外してやるからな。ただし、でかい声出したらすぐに殺すぞ」
目の前にナイフをちらつかせる。私は黙ってこくこくと頷いた。

「で?なんでこんな格好であんな所にいたんだ?」
「えっとぉ。あのお屋敷の主人の用心棒…をやっているはず…だったんだけ…ど」

男は目を見開いた。そして改めて私を上から下まで眺め直す。

「はぁ?用心棒〜?オレも軽く見られたもんだな。こんなガキんちょが用心棒ってのは」
「うん。私もそう思う。なのにお兄ちゃん達が勝手にここに置いていくんだもん。しかも逃げないようにって縛るんだよ?ひどいでしょ?」
おじさんは私の言葉にうんうんと頷いた。

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