■ジュリアの騎士様(1)

「よいしょっと…」
乗合馬車からゆっくりと降りる。
長い間乗っていたからちょっと腰が痛い。
彼女は背筋を伸ばしてそれから大きな深呼吸をした。

彼女の名前はジュリア・クラインと言って魔族の父親と間の子の母親から生まれた混ざり者の少女。まあ知っている人は知っているだろうがクライン家の跡取り娘だったりする。
彼女は今日特別におめかしをしてお気に入りのエプロンドレスとリボンをしてこの隣街までたった一人でやって来たのだった。

「それにしても…混ざり者なんて最近珍しくもないのに何であんなにじろじろ見られたのかなぁ」
怪訝な顔をしながら今まで乗っていた馬車を見た。
彼女は乗合馬車に乗っている間ずっと自分の方をちらちらと乗客に見られていたのだ。

しかし、それには理由がある。ウェーブの入った長い銀色の髪にワイン色の瞳、可愛らしい容姿。そして魔族の血の混ざっている事を証明する浅黒い肌は馬車の中でもかなり他の者の目を惹いた。彼らの注目したのはそれだけではなくて、一般のものにはまず身につける事は出来ないであろう上等な生地をふんだんに使ったエプロンドレスにフリルのいっぱい入ったリボンや靴下に上等な革を使って作られた可愛らしい靴。どれもこれもお金のかかっている事がはっきりとわかるものばかりなのだ。それに彼女はどう見てもどこかのお嬢様なのに供も引き連れず一人でいるというのもまた興味を惹かれた要因でもあったようだが。

彼女はエプロンドレスのポケットに入っていた手紙を取り出した。
『いついつに祭があるから遊びにおいで』という彼女の兄からの手紙。
何度も読んだそれをもう一度読み直すと彼女はにこりと笑ってまたポケットにしまった。

「お兄ちゃんに会うの久しぶりだから楽しみだな…」
彼女はふわふわの髪をなびかせて街の中をかけていった。



街は祭りで普段よりもにぎわいをみせており人混みでごった返していた。
「…えっと…街外れのお屋敷って聞いたから…」
彼女は少し考えてすぐに歩き出す。
「…聞きながら行けば着くよね。きっと…」


「お腹減ったな…あ…」
ふと見ると食べ物を売っている露店を見つけた。
「…美味しそう」
今度は反対のポケットに入っているお財布を取出して中身を確認する。
「えっと帰りに必要なお金はこれだけだから…よし、大丈夫☆」
そう、独り言を言うと露店に向かっていく。

どんっ!

「?」
誰かに当たり尻餅をついた。彼女はぼんやりとそのまま何に当たったのか確認する。

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