■ジュリアの騎士様(2)

「てめえこの野郎危ねえじゃねえか!よそ向いて歩いてンじゃねえぞ!」
近くに数人男の人がいて、どうやら立ったまま自分に怒っている。人にあったってしまったらしい。
入れ墨とか傷とかいっぱいあるちょっと怖そうな人達だ。

「…ご…ごめんなさい」
彼女はぺこりと頭を下げた。
「ごめんなさい?それですむと思っているのか?」
「え?何で?」
「お嬢ちゃんがぶつかった所為で大事な荷物が今割れた音がしたんだぞ」
彼は背中にしょった荷物を彼女にみせる。

「ええ?そんな音しなかったよぉ」
彼女は反論する。彼女の耳はかなり小さな音でも聞き分ける事が出来る自慢の耳で、気が動転していたとは言え聞き逃すはずはないと自負している。

「…もともとがちゃがちゃ言っていた音はしたけど…おじさん達、ひょっとして当たり屋さん?ダメだよ。そんな事したら…」
「ぐ…」
図星だったようだ。彼らの周りでくすくすと見物客が彼らのやりこめられている状態を笑いながら見ている。彼らの幾人かが顔を真っ赤にして腰に持った小剣を振り回し人払いをするとそのうちの一人が彼女を無理矢理に抱きかかえると路地に連れ込んだ。

「え?」
彼女はあまりに突然の事で悲鳴をあげるのも忘れてしまっていた。

「…よくも大勢の前で恥をかかせてくれたな…」
路地に連れ込まれると袋小路の広場で転がされる。

「そのまま大人しく金をだせば許してやったものを…」
周りを男達に囲まれて彼女はまだよく状況がわかっていなかった。

「…だってこのお金はお家に帰る時に使うお金だもん。それに壊してないのにどうしてお金を出さなきゃいけないの?」
不思議そうな顔をして彼らに問う。

「…なんか調子狂うな…」
「おい…この娘…金持ちの娘みたいだぞ」
「魔族の間の子で金持ちか?」
「このなりはそうだろう?」
彼女の服装はどうひいき目に見てもかなりのお金がかかっているように見える。

「…しかし…まてよ。間の子か…間の子は具合がいいと聞くな…」
その中の一人が彼女を妖しげな目つきで見始める。
「こんなちびでもか?」
「いやいや…ちびだからこそ狭くていいかもしれんぞ…」
だんだんと彼らが自分に近寄ってくる。

「いや…」
彼女は自分の身に危険を感じ、逃げようと後ずさりする。そして勢いをつけて立ち上がると一気に走り出した。

「ふええん…ジュリア何にも悪い事してないのに…」
一生懸命彼女は走るが所詮子供の足、すぐに追いつかれ後もう少しで路地から抜けられるその時に、彼らに捕まえられてしまった。

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