■ジュリアの騎士様(5)

街外れの大きなお屋敷。近くの道具屋さんで道を聞き、そこに行ってみる。ジュリアのすんでいるお屋敷に比べると少し小さいかなって大きさのお屋敷につくとかなり無愛想なメイドらしき女性が現れた。

「ここにこの子のお兄さんがいると聞いたのですが…」
クロードがそう言うと彼女はジュリアを一瞥し、フンと鼻で笑う。

「魔族の男性などここにはおりません。何かの間違いではないんですか?」
「ジュリア魔族じゃないもん。えと…えと『混ざり者』だもん」
ジュリアは反論したが彼女は対して相手にもしない。

「とにかくこのお屋敷にはご子息はともかくとしてご主人は立派な人間でいらっしゃいます。そんな人聞きの悪い事を言ってこのお屋敷に傷を付けないでくださいませ」
そう言い放つと彼女は乱暴に玄関のドアを閉め中に入ってしまった。

「感じ悪〜い」
世の中にはまだ魔族の血を引く者をおそれるモノは多い。
こういう扱いもジュリアは慣れていた。
けれど…

「どういう事だ?ジュリアの兄さんはいないと言われたぞ」
「おかしいなぁ…お兄ちゃんはリデアのお家に入ったって聞いたのに…」
腕を組んでいっちょまえな感じで眉間に皺を寄せる。


ぐるぐるぐる〜
景気よく彼女の腹の虫が鳴った。

お腹空いた…
そうだ…道に出ている露店で…

彼女はポケットに手を突っ込んだ。

え?
「…ない」
ひょっとしたら反対側かもしれない。
「……」
しかし、その感触すらそこにはなかった…。

「…ええ〜?」
「どうした?」
焦った様子の彼女をみてクロードが声をかけた。彼女は眉を八の字にして困ったようにクロードを見上げた。

「嘘…嘘…やだ…お財布とお兄ちゃんの手紙落としたの…どうしよう…お家に帰れない…」
「は?」
クロードは一瞬固まったが気を取り直す。

「と…とにかく手紙を確認したのはどこなんだ?」
「えっと…えっとね…わかんない〜」
「…この街に初めて来たって言ってたな。うーむ。ならとりあえず俺とジュリアが会った場所に行ってみよう。な?」
「うん…」

その路地に行ってみるとやはりというか財布も…せめて手紙ぐらいは残っているかと思ったがそれもない。どこかに飛んでいってしまったか。そこへ向かう途中も回りを見ながら歩いていたから…とはいえ祭りで人混みもあり、財布を落としてしまえば誰かが拾ってそのまま頂いてしまうのが関の山だ。

「…なかったか…まあないかもしれないとは思ったが…」
「ふええん…ジュリアお家に帰れなくなっちゃったよぉ〜!」
彼女はいきなりわんわんに泣き出した。

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