■ジュリアの騎士様(6)

彼女の泣き声で街を歩く者達の注目を集め出し、彼は回りを気にしながらおろおろと彼女をなだめにかかる。

「おいおい。泣くなよ」
「だって…だって…お家に…帰れないんだもん…」
彼は困った顔をしながら頭をかいた。そして大きくため息をついてジュリアの目線に合うようにしゃがみ込んだ。

「ジュリアは隣の街から来たんだよな?自分の家ぐらいはわかるな?」
半べそのジュリアはこくんとクロードを見ながら頷いた。

「明日俺がジュリアの家に連れて行ってやるよ」
彼女の頭のなぜなぜしながら彼は優しくそう言った。彼女は驚いて彼を見た。

「…いいの?」
「ま、乗りかかった船だ。ジュリアのような可愛い子をそのままにするのも可哀想だからな…」
「うわぁ…クロードありがとう♪」
彼女は嬉しそうにクロードに抱きついた。


二人は仕方なく宿に向う事にした。どこに財布や手紙を落としたか…探しても無駄だと思ったし、かなり日も暮れてきてジュリアがお腹が減ったと騒ぎ出したからだ。

宿に着き、軽い食事を二人でした後、元々取っておいた部屋に彼女を連れて行った。一人部屋なのでもちろんベッドはひとつ。

「ふぁぁぁぁ…」
彼女は口に手を当てて大あくびをした。目も半分閉じかかっている。

「…ジュリア…そろそろ寝る〜」
「んじゃ、ちいと早いが寝る事にするか?明日は朝一でジュリアを家に送らにゃならんからな」
「うん…」
クロードは鎧を脱いで下着になるとベッドに入った。彼女は隅っこの方にとてとてと歩いてちょこんと座り込んで足を手で抱えて丸くなった。

「…何でそんな所に座るんだ?」
「ジュリアおねむなの」
「こっちに来ればいいだろう?」
「ジュリア…女の子だよ。好きな殿方とじゃないと一緒に寝ちゃダメってかあさまから言われてるんだもん」

…こんなチビさんに欲情するような趣味はもっていないんだがな…。

クロードは苦笑した。

「ジュリアは俺の事は好きじゃないんだ…」
「え?…そ…そんな事ないよ。クロードやさしいもん」
「じゃ…おいで…」
クロードは掛布を上げてジュリアに手招きをした。

「そこで寝たら風邪をひいてしまうだろ?」
彼女はまだ一緒に寝る決心がつかないらしい。彼を見ながらどうしようか悩んでいるようだ。少しずつ近づいてはいるがなかなかベッドに入ろうとはしない。
クロードはまどろっこしくなって彼女の腕を捕まえるとぐいっとベッドに引き込んだ。軽い彼女は容易くクロードの所に引き寄せられる。ジュリアはクロードと目があってどきっとした。

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