■ジュリアの騎士様(14)

「うちのメイドから聞いた。オレを訪ねてきた混ざり者の娘がいたって。クレアも留守の時だったようだな。追い返したと息巻いていたんだ。…たく。ジュリアの事をきちんと伝えておけば良かった」
忌々しげに彼は言う。

「…でもあの人お兄ちゃんは人間だって言ってたよ」
「彼女の目の前では化けていたからな。そう思われていたはずだ」
「…?何で?」

「何でもクレアの父親の恩人の娘なんだそうだが、是非ともクレアを見習わせたいからとうちに行儀見習いに来ているんだ。しかも魔族に偏見を持っているって聞いて、恩人の娘じゃ断る訳にもいかなかったから仕方なくそいつの目の前ではずっと化けてたんだよ」
「…あ…なるほど…」

「ジュリア…話が見えないんだが…化けるって?」
「お兄ちゃん人間の外見に魔法で化ける事が出来るの」
「へえ…」

「とにかくその話をメイドから聞いていそいでジュリアを探したんだ。そしたら街のちんぴらに絡まれた所を助けてもらった若い神官戦士と一緒にここにいると聞いて礼を言うつもりでここに入ってみたら…こんなやつに…」

…まずい。

「お兄ちゃん誤解だよぉ。クロードはジュリアと愛し合っていたんだよ♪」
「「は!?」」
間抜けな返事を男二人で返してしまった。
気を取り直して先に口を開いたのは彼女の兄の方だ。

「ジュリア…こんなやつかばわなくてもいいんだぞ。ジュリアにこんな事したやつはオレが半殺しの目にあわせてやるから…」
「だって…クロード、ジュリアのこと好きって言ったもん♪」

…確かに言ったが。

「だからクロードはジュリアのお婿さんになってくれるんだよね?」
天使のほほえみで何か恐ろしい事を言われた。

「あ…あのな…ジュリア…」
「けどな好きだって言われたからって…」
「…ジュリア、クロードが気に入ったの!」

気に入った?

「ふうん…そうか…わかった。ジュリアが気に入ったんなら悪いヤツじゃないんだな?」
「うん。そうだよ。クロードすごく優しいもん」
クロードは訳がわからずにそのまま彼女たちの話をただ黙って聞いていた。

「ジュリアが見てそうだと言うのなら間違いないだろう…しかしなぁ」
彼女の兄はクロードを上から下まで眺めたあげくにため息をついた。そして渋い顔をしながら彼に話しかける。

「おい。クロードとやら。お前明日父上と母上に会ってもらうからな」
「な…何で」
「ジュリアに手を出したんだ。本当ならこの場で切り捨ててやっても良いんだが…ジュリアがお前を気に入ったようだから一緒になって貰う」
「は?」

いきなり突拍子もない事を言われている気がする。

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