■幼姫無惨11(1)

「ご主人様…」
少女はドアの端に顔を少しだけ覗かせる。
「…戻ったのか。何だ?早く入ってこい」
「…はい」
白いドレス姿の彼女はおずおずと中に入ってくる。

「…あの…ご主人様…似合いますか?」
はにかみながら少女は主人の顔をじっと見つめた。
「…さすが馬子にも衣装…いや…違うな。お前はもともと姫だったのだから似合うのは当然…と言うところか…」
男は微笑みながら少女に近づいていった。
「ご主人様、ありがとうございます…私…私嬉しいです。奴隷である私がこんな素敵なドレスをいただけるなんて…」
「ふん。単なる気まぐれだ」
「気まぐれでも嬉しいです。大切にします」
少女は感謝の言葉を何度も何度も言いながら男に抱きついた。
「気に入ったのならそれで良い」
「今までよりももっとご主人様に尽くします。ありがとうございます」
「ふん…。もう、夜も遅い。そろそろ寝るぞ」

「あ、はい…」
少女は慌てて男から身体を離し、廊下に向かおうとすると呼び止められる。
「…どこに行く?」
「服を…脱いで…それから部屋に戻ろうかと…」
「何を言っている?それを脱いだらここに戻って来い。今日はここで寝るんだ」
「え?」
「わかったな」
「…はい。ご主人様」
少女は急いでいつもの姿になると男の部屋に戻った。男はすでにベッドに横になっており、少女を手招きする。彼女はいそいそとベッドに潜り込んだ。男は少女を自分の方に寄せて腕枕をするように手を回すとその小さな娘をそっと抱きしめる。

「ご主人様…」
少女は男の顔を見た。
「どうした?」
男に優しげな表情で見つめられていたのに気づいて胸の鼓動が早くなる。
「何でもないです…」
少女は小さく喉を鳴らしてゆっくりと自らも男に抱きついた。体温や…息づかい…男の存在を改めて感じる。彼女はそれらを感じ取りながら目を瞑った。

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