■幼姫無惨11(4)

「誰か手伝いのモノを呼んだ方がいいですね。では…」
青年が人を呼ぼうとドアノブに手をかける。少女は慌てて声をかけた。
「あ…私一人で着替えます。だって…」
自分の胸に目を落とす。青年は少女の言いたい事をくみ取り頷いた。
「…そうでした。極力そのようなモノは見られたくはないですね。わかりました。では私も部屋の外におりますね」

幼い姫は部屋で一人になると青年に渡されたモノを一つ一つ着ていく。下着を全て身につけて最後にドレスを着る際ふと思いつき、男から貰ったドレスを手に取った。
「……」

かちゃり…
「…お待たせしてごめんなさい」
ドアが開き純白の衣服に身を包んだ少女が現れた。先ほどのはかなげな印象から一転して高貴な雰囲気を漂わせた幼き姫。この少女がつい昨日まで性奴隷として淫らな行為をしていたとはとても想像が出来ない程の気品と清楚さを全身から醸し出していた。
青年は少女の着ているのが自分の持ってきたドレスではない事に気づいたがそれ以上にその舞い降りた天使のような少女に何も言えなくなっていた。一緒にいた侍従達も一人残らず息を飲む。

「…どうしたの?私、おかしな格好をしているの?」
少女は戸惑いながら青年に尋ねる。青年は我に返り、側に行くと少女の手を取った。
「いえいえとてもお美しいです。さあ、では急ぎましょう。もう馬車も来ています」
「あ…あの…ご主人様は?」
「姫様にひどい扱いをしていた者の事を聞くのですか?」
青年は怪訝そうに少女を見る。

「あ…でも…」
「あの者はすでに姫とは無関係です。気になさらなくても大丈夫ですよ」
「でも、私…は…ご主人様…に」
「姫様。姫様はここの屋敷の主人にひどい仕打ちを受けていたのでしょう?会う必要などありませんよ。話はつけてあります。すぐに屋敷から出ていきましょう」
「…で、でも…私…」
最後に男に会いたかった。ひどい事はされたけれど、それでも男は自分に優しかった。

馬車に乗り込んで、ひょっとしたら姿を現すのではないかと窓から首を出して男を捜す。屋敷の玄関は閉じられたまま、誰も見送ってくれる様子はない。
「姫様…危ないですよ。席について下さい」
「でも…でも…ご主人様に…」
不意に主人の部屋の窓に男の姿を見つける。
「ご主人様!…ご主人様!」
少女は男に向かってあらん限り声を張り上げる。

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