■虫師の森(12)

森は薄暗く、私は歩みを早めた。

このぐらい急げば次に発作を起こすまでには虫師の元にたどり着けそうだ。


先を急いでいるとふと神父様の言葉が気になった。私からする匂いというのは何なのだろう。

考えながら進んでいるとどさりと何かが背後に落ちた音がした。

「え?」
後ろを振り向くと大きくぶよぶよとした白色の芋虫がそこで蠢いていた。

「ど、どうして?」

私、きちんと袋を……

確かめるように胸に触れるとそこにぶら下がっているはずの袋はどこにも見当たらない。

そうか。慌てていたからお借りせずにここに来てしまったんだ。

──うかつに森に入ったものは生きて帰れない。

「ど、どうしよう……」
おろおろしているうちにも虫は私に向かってゆっくりではあれど着実に近づいてくる。

「……や、やだ……やだ……!」
急いでこの場から逃れようと向き直ると目の前の木からぼとぼとと紫色の固まりが落ちてきた。もちろんそれらも虫だ。

「ひぃぃぃ……」
先ほどのものよりも小さいけれど、あまりの量に腰が抜けてその場に座り込んでしまった。

「ふぇ……ふぇぇぇ……」
ゆっくりと、ゆっくりとまるで何かに誘われるかのようにそれらはすべて私の足の付け根を目指して集まってくる。

どうして?

横にずれてみても向かってくる先は変わらず、半泣きになりながらも必死で動く。

「あっ!」
身体が木に当たり、前からも後ろからもそして左右からも迫って、どうしようと焦りながら周りを見渡してももう、逃げる所は見つからない。私がおろおろとしているうちに近づいてきたそれらは下履きの隙間から中に入り込んできた。

「ひぃっ!」
慌ててそれをどかそうとして手を伸ばすが外見の気味悪さに触れるのを一瞬躊躇する。

「ひあっ!」
その隙に入り込んだ虫が私の股間を舐め始めた。

「あっ……ひっ……い……いやぁ……」
身体がふるふると震える。

や、やだ。気持ちいい。

「……あっ……や……だ……めぇ……ああっ!」
取り除かないとと思うのにその気持ちは虫から与えられる快感により頭の隅に追いやられていく。

もぞり。
また一匹入り込んだ。

「ああっ……あっ……いいっ……」
股間で蠢く虫の動きが舐められる気持ちよさと相まって快感を増長させていく。

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