■お姫様と…(4)

「はい…なんでしょうか?」
「あなたはどうして彼の事をそのように…ご主人様と呼ぶの?あなたの主は私だったでしょう?」

彼女は笑って、けれど何も答えずに部屋から出ていった。


それから1日が過ぎた。
日に何度か彼が私の様子を見に来るのと、マリアが食事とあのワインを持ってくるだけ。

彼の私への態度はずっと変わらず紳士のままだった。当日に力ずくで奪われると思っていた私は拍子抜けをしたくらい。彼は一体何を考えて私をここに閉じこめているのか。まるでわからない。


「…熱い」
汗が噴き出てくる。
…こんな窓も無い所で閉じこめられているのだから仕方が無いのかもしれないけどここに閉じこめられてから熱くてたまらない。何とかならないのだろうか。これではドレスに汗がついて気持ちが悪い。ドレスも…ここにきてからずっと替えていない…

マリアにそう言うと
「…そうですね。気が付きませんでした。申し訳ありません。少々お待ちを」


しばらくすると彼女が戻ってきた。
「湯浴みの準備を致しました。どうぞこちらへ」
彼女は戸を開けてそちらに手を向ける。

「…私、足枷を付けられていて…」
「大丈夫ですわ。私が持って歩きます」
くすりと笑い、片手で軽々とそれを彼女は持って私を案内する。

継ぎの間に入るとそこには石壁とは不似合いな湯船があり、中にはなみなみと暖かいお湯がたたえてあった。

彼女は私のドレスを脱がすのを手伝い、一糸まとわぬ姿にしていった。
「お綺麗ですわ…姫様」
うっとりとした表情で私を見る。

「マリア」
「はい」
「あなた、こうやって塔の主に従っているようだけどここから出たくはないの?」
「はい…今のところそのつもりはありませんわ。ここの主は私に良くしてくださいます」
「私だってしていたでしょう?」
「ええ、姫様にも大変可愛がって頂きました。でも、私ここの主の命令には絶対なんです。仮ですが契約を取り交わしておりますから」
「契約?」
「ええ、私の願いと引替えに彼に従っているのです」
「願い?」
「…おしゃべりが過ぎましたね。さあ、姫様中へどうぞ」

ちゃぷ…

湯船に浸かり、汗を流すと憂鬱だった気分も少しは晴れる。

「姫様、お手伝いをさせて頂きます…」
「あ…ありがとう」

彼女は布で丁寧に私の身体を洗っていく。心地よい感触。

「え?」

その彼女の手が伸びてきて、私の…双丘を優しく揉みほぐす。
「マリア?」
彼女の顔を見るとうっとりとした表情で私の胸を触っている。

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