■お姫様と…(9)

「マリア…同行していた者達は今どうしているの?」
彼女が食事を持ってくると私は早速聞いてみた。
「…皆、この塔の中で楽しく過ごしておりますよ」
「楽しく?」

「…そうですね。城で出来ないような事をおおっぴらにしてらっしゃると言えばよろしいでしょうか」
「出来ない事?おおっぴら?」
何をしているの?

「皆さん、自分の本能に正直にしておられます。このような事が出来る場を与えてくださったご主人様に皆感謝していますよ」
彼女はまた、くすくすと笑いながら部屋から去っていった。


…私の捜索隊は今どのあたりにいるのかしら…。剣聖アルバートは来ているのかしら…。
早く、早く助けにきて…私の身体が本当におかしくなってしまう前に…

◇ ・ ◇ ・ ◇

「おはようございます。姫様」
「え?」
寝ていると彼女に無理矢理起こされる。

「湯浴みの準備が出来ました。ちょうど良い湯加減ですので冷めると勿体ないですから…」
「あ…そう…解ったわ」
本当ならこんな強引に湯浴みなど行かせられたくはないけれどいついけるかわからないし、やはり身体を清めると気分も紛れる。


彼女は足枷を片手でひょいと持ち、私を継ぎの間に誘う。もう見慣れた風景だ。こんな異常な状態に慣れてしまうなんて…私もどうかしてる。

ふぁさ…
ドレスを脱ぐ。
する…するり…こと…ぱふっ…
コルセットのリボンとズロースのリボンをほどき、それを外し、脱ぐ。
ちゃぷん…
湯船に浸かる。

はぁ…
気の休まる瞬間。嫌な事を何もかも忘れる。

「ここに来られてから姫様の肌はいっそう白さが際だって陶器のお人形のようです」

…気が付かなかった。確かに妙に白く…でもマリアの方がもっと白くて綺麗…こんな綺麗な手で、あんな汚らわしいモノを持って…ああ、思い出すのもおぞましい。

なのに…あれを私も欲すると言うの?嫌…汚らわしい。私は絶対あんなもの…。…でも、昨日は…彼女の口に残っているあれを私はとても舐めたいと感じた。もっと欲しいとも思った。私は狂ってきているのかもしれない。

湯船から出て、身体を彼女に拭いてもらう。

「え?着替えは?」
いつもならあるはずの着替えが用意されていない。洗濯が出来ない訳じゃない。昨日は捉えられた時の服だった。今日はどうして用意されていないのだろう。

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