■お姫様と…(13)

彼は私の胸に服従の刻印を押し、また私は彼に抱きしめられる。
「シルビア…私の愛しい人よ。やっと私だけのモノになってくれましたね。この日をどんなに待ちわびた事か…」
「あ…」

自分の主に抱きしめられて身体が熱くなる。

「私のモノとなったからにはもうこれは必要ありませんね」

カチリ…

足枷が外される。

「さあ、私にあなたの生まれたままの姿を見せてください」
「はい…」

身体を覆っていたシーツを自ら取り去る。シーツが床に落ち、私の裸体が彼の目に晒される。私はその身体を隠すことなく立ちつくす。

「長いウェーブの金髪…ルビー色の瞳…陶器のようにきめ細やかな肌…とても綺麗ですよ」
「ああ…ありがとうございます…」
すんなりと…下僕としての言葉が口からでる。言葉を紡ぎながらゾクゾクとした高揚感が、刻印から身体中へわき上がる。

契約を終えた後、マリアが主に声をかけた。

「おめでとうございます。ご主人様…」
彼女はにこやかに彼に言う。

「ありがとう、マリア…」
「…よろしかったですね。姫様がその申し出を受け入れてくださって。もっとも、拒絶は出来なかったでしょうけれど…」
彼女は楽しげに私に微笑む。

私が拒絶出来ない?

「え?マリア。それはどういう…」
「姫様は既に私と同じように人外の者に身体を作り替えられていたのですよ」
「作り替えられて…いた?」

「あの血のような色のワインは美味しかったでしょう?」
…美味しかった。でも、この食事とは違う美味しさ。
「アレは淫魔の血を混ぜてあるんです」
「淫魔の血?」

「…女性だけのようですが、あれをを飲むと数日で身体が淫魔に作り替えられてしまうのですよ」
「淫魔に?あの…人を色で惑わすあの淫魔?」
「男性の精を生きる糧としてそれをする事でしか生きていく事が出来ない存在にです。惑わすのではありません。そうしないと生きていく事が出来ないからそうするのです」

「姫はもう人間ではありません。魔の者になってしまわれているのです」
「普通の食事を受け付けなくなったのは…排泄をしなくなってしまったのは身体が変わっていった証拠です」

「人外の者になれば姫は誰にも嫁ぐ事は出来なくなります。多分、私しかあなたを愛す事が出来なくなるでしょう。あなたが淫魔の力を使い、好きな者を操れば別ですが…私が姫を淫魔にしたのはそう言う理由です」

私…人間ではなくなってしまったの?嘘…よ。淫魔なんかじゃないわ。あんな淫らでいやらしい生き物なんか…。

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