■ちょぴっと話10

「同棲してるって親父には内緒にしておくから」

見事に日付がずれて重なったのはたった一日という休みを彼氏とまったりすごそうかと思っていたその貴重な朝。姉ちゃんは現れた。 私の代わりに玄関に出た彼を見てにんまりと笑い、連れてきた甥と姪を押しつけていった。 夏休みで「どこかにつれてけ攻撃」に私のところに遊びに行くことでごまかすつもりだったのが押しつける相手を見つけたということらしい。

隣のやつの部屋では子供たちの暴れ回る声。不思議なことに子供に受けのいいあいつにすでに可愛いと手放しで喜べない年頃になってしまった奴らを押しつけて私は洗濯機の前でひとりため息をついた。

本当だったら今頃いちゃいちゃし放題だったのにぃ。

「おばちゃーん」
どたばたと走り回る音とともに豆台風がやってきた。
「誰がおばちゃんだ。お姉ちゃんと呼べ」
「だっておばちゃんだもんねー」「うん」

あー可愛げがない。

「何の用?」
「おばちゃんのみるく飲みたい」「飲みたーい」

なぬ?

「私のみるくだと?」
「あのにーちゃんが飲ませてもらえって」「ねー」

何を子供に言うのだあの馬鹿んちんは! そんなに子供を押しつけたのが気に入らなかったか。

「……」
ああ、しっかりお返しをさせてもらおう。

「悪いな。私のは出ないからにーちゃんのを飲ませてもらえ。濃厚なのが出るはずだ」
「うん。わかったー」

どたばたどたばた

ばたばたばたばた!
「こら!お前子供に何を吹き込みやがったー!」

お前が言うな。

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