■エッチな蝋燭(2)

箱を開けて中を確認する。中には赤と白の蝋燭が二本に使用説明書とキャンドルスタンドが入っていた。蝋燭には花の絵が描かれていてそれがとても上品で、とてもあんな目的の為のものだとは思えない代物だ。それにしてもボクのあれを送ったのが一週間前で、希望者もいただろうに。仕事が早い。さすがはDrだ。

「憲くん?」
ボクが一人で蝋燭を見てにまにましているとキッチンにいた萌ちゃんがこちらにやってきた。

「蝋燭って言ったよね?」
「うん。そうだよ。知り合いからモニターを頼まれたんだ」
「モニターって事は使っていいんだよね?」
「え?」
「だってせっかくの蝋燭だよ。今日夕食の時に使ったらどうかな?蝋燭の明かりだけで食事するの」
「あ、それは止めた方がいい。この赤いのはね。花の匂いがする蝋燭なんだよ。せっかくの食事の匂いがわからなくなっちゃうでしょう?」
「へぇ……お花の匂いがするの……」
萌ちゃんはボクの手元を興味深げに眺めた。

「嗅いでみる?」
「うん」
萌ちゃんは赤い蝋燭に顔を近づけて匂いを嗅いだ。

「わぁ……本当だ。良い匂い」
「本当だね。こんな匂いなんだ……へぇ」

萌ちゃんはうっとりとした表情で蝋燭の匂いを嗅いだまま動こうとしない。覗き込んでみると表情が普段と違う事に気づきハタと思い出した。

……そう言えばこの蝋燭の効能は……、しまった!

ボクは手に持った蝋燭をあわてて箱の中にしまい込む。

「……憲……くん?どうしてしまっちゃうの?」
「だって……」

萌ちゃんは気づいていないのか隣にいるボクに胸に押しつけ始めた。これは萌ちゃんが欲情している時の独特の行動だ。まさか火をつけなくても効果が現れるとは思わなかった。どうしたものかと思っていると萌ちゃんはボクに抱きついてきた。

「……憲くぅん」
甘ったるい声で僕に擦りつく。

あーあ。おねだりモードになってきたぞ。ボクもあの匂いを少し嗅いだから欲情はしているけれど、夕食をすませてから時間をかけてって思っていたからどうしてもと言うほどじゃない。萌ちゃんもノリノリだし。そのままエッチするのも悪くないかな。

彼女を押し倒そうとしたその時、キッチンの方からピピピピ……と電子音が聞こえる。萌ちゃんはその音で我に返った。

「きゃあ!大変。茹で過ぎちゃう」
慌てて彼女はキッチンに駆け込んでいった。

あらら。ちょっと残念だったかも。

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