■ゆきずりなふたり(1)

とある森の中。
私は相棒と一緒に山賊のアジトらしき建物を木陰から見ている。

「案外、簡単に見つかったな」
エルフの彼が口を開く。
「本当。もう少し手間がかかるかと思ってたんだけど」
アジトを見ながら私も答える。

「見張りは2人か…」
「任せて…」
私はそう言うと目をつむる。言葉を紡ぎ呪文を唱える。

魔法の雲よ…かの者に爽やかなる眠りを与えよ…スリープ…

指からそれがアジトの二人に向かって漂っていく。見張りらしき2人は深き眠りに入っていった…

◇ ・ ◇ ・ ◇


私の名前はディー・フェンディ。
魔法使いなれど防御魔法や補助魔法は大の得意で、攻撃魔法はてんでだめと言う腕前の持ち主。だから、すばやく逃げ回れるよう魔法使いのようなローブは着ずにラフなシャツに足首まであるパンツをはいている一風変わった魔法使い。一方、相棒の彼はシェル・シルキーと言って私の生まれ故郷の奥に位置するセルフィーユの森が故郷のエルフの青年で、エルフには相応しくない大降りの剣を背中に所持している魔法剣士。
2年ほど前に生まれ故郷の妙な事件を一緒に解決し、その後妙に馬が合ってずっと一緒に旅をしている。

◇ ・ ◇ ・ ◇


先日の冒険で手に入れたアイテムを換金するために偶然立ち寄ったディオの街は明日に控えた祭の準備で活気づいており、祭りを目的にした旅行者達を目的にしているのか道ばたには露店が並んでいた。

「何かすごく人が多いのね。何かあるのかな?」
私は通りを歩きながら呟いた。
「明日から祭りがあるんだ。ここの祭りは3日間盛大にやるってんで近郊でも有名なんだ。領主やこの国の姫さんまでお忍びで来てるっていう噂もあるくらいだ。どうせなら祭りも見てくか?」
そう言ってシェルは私の方を見る。

「シェル…ここ初めてだって言ってたわよね。やけに詳しくない?」
「情報収集は旅の基本だからな」

彼は、懐から表紙に「うんちく帳」と書かれたメモの様な紙の束を見せた。彼に言わせるとうんちくを語るためのさまざまな情報がこの中に凝縮されているのだとか。
「…うちの父さんもそういうの持ってた気がする…」
頭に手を当てながらつぶやいた。

「そりゃ。小さい頃君の親父さんのうんちく村長にみっちり仕込まれたから♪」
彼は楽しげにそう言ってまたメモを懐にしまう。褒められたと思っているらしい。

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