■ゆきずりなふたり(2)

うちの父は村の代表をしていていろいろな事を知っていたから「うんちく村長」と呼ばれていた。あんまりうんちくばっか言っているから私はあまり好きじゃなかったんだけど彼は私が生まれる前からちょくちょくうちに出入りをしてその父にその辺の事を伝授されていたのだと聞いた覚えがある。

「そんなもの仕込まれないでよね…」
父親のようにひけらかす真似をしない分かなりましな部類に入るとは思うんだけどあんまり良い趣味とは言えないかもしれないぞ。

しかし、彼とは2年間ほとんど一緒に行動しているのにもかかわらず、どうやってその手の情報を仕入れているのか皆目検討も付かない。私はあえて気にするのを止めた。

◇ ・ ◇ ・ ◇


「これはとても良い物ですよ」
道具屋の店主が私の持ってきた中の宝石を見て言う。

「へへっー。でしょでしょ? それ手に入れた時苦労したんだから、高く買い取ってよ」
私は店のカウンターにひじをついてウインクひとつ。値切るのも、高く買い取らせるのもシェルより得意だからここは私の腕の見せ所。

「いいですよ。これだけの物はそうそう手に入りませんからね。高く買い取らせて頂きます」
「やった☆」

「…ところで、お二人を冒険者とお見受けしますが?」
私が財布にお金をしまい込んでいると店主が声をかけた。

「?ええ、そうよ。それが何か?」
「一つ、急ぎで依頼をお願いしたいのですが。引き受けていただけますか?」
「引き受ける引き受けないは内容を聞いてからよ…」
「ええ、いいですよ。実はですね…」

店主が言うには遠くの街から特注で取り寄せていた荷物がこの近くで盗賊に奪われ、その中のピンク色の香水瓶をお祭りの最終日までに依頼主に渡さなければならないので何とか取り返して欲しいのだとか。他の荷物も持って帰ってきたらそれなりの報酬を出すという事だった。

盗賊は出没するという噂は聞いていたから護衛は付けていたのだが、どうやら役に立たなかったらしい。ただ一人逃げ帰った店の者以外は全て殺されてしまったと言っていた。

「護衛も倒されてしまいましたからかなり凶悪な盗賊だとは思うので、お二人だけにお願いするのは心苦しいのですがなにぶん時間がせまってこちらとしても急いで取り返したいのですよ。もし不安なようでしたら近くの酒場ででも仲間を募って頂いても結構です。ただ、期限までに取り返して頂ければ…」

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