■ゆきずりなふたり(10)

荷馬車は夕刻には街に着き、賞金首の盗賊の引き渡しや、道具屋に商品を届けたりして夜になった。酒場で食事をし、店主が見つけてくれた宿に行く。

道具屋の店主は薬は半分になっていたが快く最初に言っていた金額を払ってくれた。商品が期限に間に合えば量が減っている位の事は何とかなると言っていた。水で薄める気だろうか?
ただ、宿は祭りの為に一人部屋一部屋しか用意出来なかったそうだ。

私は部屋に入るなりベットにダイビング。寝っ転がりながらベットの感触を味わう。

ベット一つしかないのか…残念。ま、祭りの前日に宿で泊まれるだけでもましってモンか。

私はシェルの方を振り返る。
「…ところでさ、ベットどうする? じゃんけんで決める? それとも…」
「オレは床でいいや。自分だけベットに寝て女の子床に寝かせるのは嫌だし、今日はいつもの数倍疲れた気がするからオレ、先に寝るわ」
彼はそういって床にマントを敷いてさっさと寝てしまった。早っ…

確かに…いろんな意味で疲れたな…見たくないモン見たし。触りたくないモン触って…。後は…まあ、忘れてしまおう。シェルもきっとその方が良いだろう。明日はお祭りだし、さっさと寝るか。


「あ、そうだ。鞄ん中の整理しなくちゃ」
私は、鞄を開けて中の物を一つ一つベットの上に並べていく。

「ロープは使い切っちゃったから明日補充して…携帯食も1週間分位買っておいた方が良いかな…他に足りない物は…おっと!ハンカチ洗っておくの忘れてた」
鞄のそこに例の薬を拭いたハンカチを見つける。ハンカチの薬はほとんど乾いているようだ。臭いはしない。

「…いい加減効力はなくなってるよ…ね。しかし、こんなもん何に使う気なのかしらん」
「下心ありありで姫様に香水とか言って献上するんだろ」
床から声。

「何だ。起きてたんだ」
「そのハンカチ。綺麗に洗うまで顔に近づけるなよ。ほとんど匂わなくなっているだろうけど、その匂いが一番やばいんだから」

「…そう言えば昔えらい目にあったって言ってなかったけ?」
「あまり言いたくない…」
「ふうん。ま、いいか」
どんなやばい目にあったか非常に気になる。う〜む。いけない想像をしてしまいそうだ。

「洗うのはいいけどどこで洗おうかな…」
外まで行くのも何か面倒くさい。ふと見ると手を洗うための手桶が目に付いた。

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