■ゆきずりなふたり(16)

「…しかし…夕べはえらく騒いだのに、よく苦情が来なかったものだわ」
階段を下りながら呟いた。
「そう思わない?シェル…」

「…苦情が来なかったのは当然かもしれないぞ」
階段から下を見ながらシェルが言う。

「?どういう事?」
下の酒場には私と同様に腰を庇いながら歩いている人とか、寝不足で大あくびをしている人とか…お尻を庇いながら座る男性など…がいた。

ひょっとして例の薬の所為?

「シェル…どこに水を捨てに行ったの?」
「2Fの空いている窓から下に捨ててやった。下はどぶになっていたからいいかと思ったんだか…換気をした時にも匂いが別の部屋に行ったらしいな…」

「…うわ…はた迷惑な薬…」
「さっさとこの街を出ていった方がいいな…」
「同感だわ…」


私たちは朝食を取るとすぐにディオの街を旅立った。風の噂でその年の祭りは途中で乱交状態になり、滅茶苦茶になったとか、その年のネズミや、害虫が異常に大発生したとかそう言う話を聞いた。

乱交状態の件は多分、あのポーションの依頼主の所為だろうけど、害虫の件はシェルがどぶに捨てた水が原因だろう。当分、ディオの街には行きづらくなってしまった。

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