■ゆきずりなふたり1.2ぐらい?(1)

シェルと相思相愛になって旅というか冒険の目的が微妙に変わり始めた。

エルフと人間は時間の流れ方が違う。人間で言うところの10年が彼らにとって1年に該当する計算になる。だから、どう頑張っても彼よりも私の方が先に寿命を迎える。

お互いが好きだと気づかなかった頃は大して気にもしていなかったそれらの事が恋人同士になった途端重くのしかかってくる。

私は自分が死んでから彼が別の人を好きになるというのは気分が良いものではないけどしょうがないかな……って思ってた。しかし、それを納得せずにいる人もいる。シェルがそれだ。


「んー」
よく寝た。
大きくのびをすると違和感を感じた。

「ん?」
寝る前には身体にぴったりだったはずの肌着の生地がだぶだぶになってる。

なんで?

袖から手を出したら出てきたのはなぜか子供の手。

「…………うーむ」
しばし眺めて手を動かしてみる。

にぎにぎ。

どう考えても自分の手なのよね。ひょっとして夢?

ほっぺをつねる。
「痛い……」
発せられた声が子供独特の声に変わっていた。

「…………」

ということは。

思い当たる事は一つしかない。隣を見ると一緒に寝たはずのシェルの姿が見えない。

……………あんの馬鹿。

私は大きく息を吸う。そして腹の底から声を出す。

「シェルー!」
「なにー?ディーさん」
大声で彼の名を叫ぶとのんきな顔をしてシェルが部屋に入ってきた。

「わー。ディーさん可愛い」
「可愛いじゃない!」
私を見るなり破顔して近づいてくるシェルを怒鳴りつけた。

「あなた、またやったわね!若返りの薬を使ったでしょう?」
「うん。昨日道具屋で偶然手に入ってね。あんまり嬉しかったから昨日の寝酒の中にちょろっと」

あの時か。そういえば少しだけ味が違うような気はしたのよ。
でも……なんて言うかなぁ。口に入れたものは出すなって小さい頃から躾けられてるから少しぐらい変だって思っても飲み込んでしまうんだよね。だから口を付ける時点で気をつけてないとそのままごくん。それをわかってやっているのか彼のちょろっとは100%の確率で成功する。


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