■ゆきずりなふたり1.2ぐらい?(2)

「あれほどこっそりするのは止めてって言ったのに」
怒りの感情をあらわにする私に対し、シェルは悪びれもせずに返事を返す。

「だって、『入れても良い?』なんて聞いたってディーさん『ダメ』って言うに決まってるしオレとしてはディーさんがオレより先に年をとっていくのを見るのは嫌だし」
「わかるけどさぁ」
私は呆れて溜息をついた。

そうなのだ。私と一緒に人生を歩みたいと考えたシェルは行く先々の町や村で若返りの薬に関する情報を集め出した。集めるのはかまわない。問題はそれを私に内緒でこっそりと飲ませる事。
最初のうちこそ少しだけ若くなって喜んでいたものの、こう何回も自分の意志とは関係なしに若くされるのはやっぱり嫌。
しかもある程度年をとってから飲ませればいいものを見つけた端からこっそり飲ませようとするからたちが悪い。

シェル曰く『保管しておいたら中身がなくなってしまうかもしれないし、すぐ飲まないと変質するかもしれない。それに持ち運んでいたら落としたりするかもしれないじゃないか』なのだそうだがこっちは過分に迷惑だ。
しかも若返りの薬というものは貴重品だから数もわずかしかないはずで、こんなペースで使用をしていたらなくなってしまってもおかしくないと思うのだけれどなぜか彼は行く先々で私の気がつかないうちにこっそり手に入れてくる。
どこかの魔法使いが量産しているのだと思わずにいられない。

「ああもう。シェルが道具屋に行って機嫌よく帰った後は用心しなきゃいけないってわかっていたのに。私ったら私ったら……」
「まあまあ、そう気を落とさないで」
頭をかかえる私にぽんぽんと頭をたたきながらシェルは慰めの言葉をかけるのだが。

ちょいと待て。

「誰のせいだー!しかも、ちょろっとじゃないでしょう?今までの私……えーっとどのぐらいだったっけ……」
「うーん。だいたい200歳ぐらい?」
「ちっがーう!エルフと一緒にしないの!じゃなくて。ちょろっとだったらこんなにも小さくなってないじゃない」
余った袖をぶらぶらさせる。それを見てシェルは苦笑した。
「ちょっと効き過ぎちゃったみたいだね」

違うでしょ。効き過ぎたとか効き過ぎなかったとか言うよりも……


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