■ゆきずりなふたり1.2ぐらい?(3)

「あれで十分じゃない。どうして薬が必要なのよぉ!」
「だってさぁ。偶然入った道具屋にあったんだよ。まるでオレに買われるために置いてあったような。だからさぁ。これは使えっていう神の思し召しなんだと……」
「勝手に解釈しないでよ!買うのはかまわないけど考えて使いなさいって。こんな格好じゃ困るじゃないのー!」
「え?何で?」

素で聞き返さないでよ。普通わかりそうなもんでしょうが!

「仕事とか、そりゃ中身は大人のままだから魔法は使えるけど子供の外見じゃいろいろあるじゃないの」

今までちょくちょく若くされたことはあったけどここまで小さくされたのは初めてだ。実際どのくらい今までと比べて行動力とか魔法の効果など何に支障が出るかわからない。

「大丈夫だって。オレ、子供のディーさんだって関係なく愛してるし。優しくするから」
「ちっがーう!そういう問題じゃ……ってちょ……ちょっとぉ!迫ってこないで!」
「そんな、冷たいこと言わないでよ。ちょっと抱くだけだから」

子供になってしまった私はシェルに抵抗する力はない。逃げる間もなく抱きしめられて頬ずりをされた。

「子供のディーさんって新鮮だなぁ。オレ丁度この頃のディーさんには会ってないからさぁ」
抱きしめるだけだって言っていたくせにシェルは何度も何度もキスをする。

「んぷっ……や……やめっ……苦しいって……」
「……ああ、ごめん」
シェルは私の抗議であわてて手を離した。

「だって、ディーさんが可愛かったからつい」
「……あのね。どこの世界にこんな子供に欲情する人がいるの!」
「だって、ディーさんはディーさんだし。好きなのは変わらないし。身体はこうでも気持ちは大人のディーさんでしょう?」
「……そうだけど」

「それにしても可愛いなぁ。小さい頃のディーさんは。あ、大人のディーさんが可愛くないんじゃないよ。今の状態がそれよりも可愛いって事で大人の時にはまた違う可愛さがあって……」
「それはいいから。で、これ元に戻せないの?」
「うーん。年をとる薬のありかに関しては調べてないんだよね。だってそんなの必要ないし」

そりゃシェルには必要ないでしょうけどさ。

「調べてよ。これじゃ私が困るから」
「別にいいじゃん。ディーさんが普通に年を取ればまた元に戻るし」
「あのね。あそこまで成長するのに時間がかかるでしょうが!」
「気にしない気にしない」
「私が気にするの!」

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