■すまにーとばーわ(1)

「今日はこの村に泊まって明日出発した方がいい」
小さな山間の村。そこで食料の調達をしていたらそこのおじいさんが言った。

「最近、この先の山道にたちの悪いのが旅人を襲っておるんじゃ。今からでは山道を通るのは夜になってしまう。せめて朝になってからの方がいい」

私たちの事を心配して言ってくれたと思ったのに。お兄ちゃんはその助言をまるっきり無視してその村を立った。

◇ ・ ◇ ・ ◇

次第に暗くなっていく山道を歩いていると道の脇にある木からわらわらと厳つい男達が姿を現した。

「有り金全部置いていきな」
その中から一番ごつくて強そうな男が私たちに言う。

「お兄ちゃん!あのおじいさんの言ってた通りじゃない」
「ああ。そうだな」
小さく囁くと隣でお兄ちゃんがローブの下から小さく返事を返した。

「もう。宿を熱心に勧めるからこれは絶対に客引きのための作り話だってお兄ちゃんが言ったから信じたんだよ?」

それに徹夜で山越えすれば朝には隣街に着く。ここで宿を取らなかった分いつもよりも良い部屋を取って一日ゆっくりすればいいって言うから後ろ髪引かれたけど山越えに決めたのに。こんなことになるのならあの村で休めばよかった。

ぶつぶつと文句を口先で文句を言っているとぽんとお兄ちゃんに頭を叩かれた。

「まあ、済んだことだ。それよりもリズ、周りを囲まれたぞ」
「ええ〜?」

見渡すといつの間にかむさい男たちが前にも横にも後ろにも私たちを取り囲んでいた。その数およそ20人あまり。

「ううう。お兄ちゃんの馬鹿ぁ。どうするのよ。これぇ」
「大丈夫。大丈夫。いつものようにオレに任せときなさいって」
お兄ちゃんは嬉々とした表情で唇を舌でぺろりと舐める。

「けど、これだけの人数だと体型変わっちゃいそうだな」
「ちょっと、それやだよ。でぶでぶのお兄ちゃんなんか見たくないもん」
「でもな。せっかくこうやって出て来てくれたんだ。残したらまずいだろ?」
「そりゃ、残して襲ってこられたら困るけどさ……」
「だろ?」
「何、ぶつぶつ行ってやがる。早く渡さねえか!」
こっちが何の動きも見せないためか奴らはいらだった声を上げた。


「じゃ、そう言う事で。さっさと片付けるからリズは適当に隠れてて」
言うが早いかお兄ちゃんはローブごと身体を崩れさせ、褐色の液体になると男たちの方に飛び出した。

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