■すまにーとばーわ(2)

「わっ!」
「な、何だぁ!?」
お兄ちゃんの変化に驚いた男たちが悲鳴を上げた。

そりゃそうだ。
人がいきなり溶けてその溶けたものが自分たちに向かってくるのだから。

褐色の液体は男たちの目の前でジャンプをし、上で大きく拡がると男たち数人を包み込んだ。

「うわぁぁぁぁ!!」
包み込まれたそいつらはしばらく悲鳴を上げながらじたばたしていたけれど、すぐに聞こえなくなって中の動きが完全に止まると、足下に犠牲者が身につけていた同化出来なかった装飾品なんかが現れる。

「お、お頭!」
「ば、化け物だー!」

男たちの中には怯え、後退る者もいれば逃げる者も出始めた。残っているのは腰が抜けて動けなくなった者や、それでも果敢にそれを倒そうとする身の程知らずな奴らだけだ。液体はそんな奴らを側にいるものから着実に同化していく。本能フル稼働状態だ。

相変わらずすごいなぁ。

なんて、感心して眺めていると不意に首に冷たいものが触れる。

「ひゃっ!?」
冷たさに首をすくめるとちりっとした痛みが首筋に走った。
どうやらナイフらしい。

「動くな!」
「ひっ!」
お兄ちゃんに気をとられている隙に奴らの一人が背後に回ってたらしい。慌てて腰のショートソードに手を伸ばそうしたら腕を捕まれて後ろ手にされる。

「おいっ!そこの!動くな!」
男はただいま山賊の仲間を同化中のお兄ちゃんに向かって声を張り上げる。

「それ以上動いたらこいつの命がないぞ!」
しかし、あの状態のお兄ちゃんは食べることしか頭にないから、他の方なんて見向きもしないし、おそらく聞こえてない。だから動きを止める様子はもちろん見られない。

「おいっ!おいっ、聞こえないのか!こいつがどうなってもいいのか!」
男は私をこれ見よがしに見せつけ声を出すけれど、お兄ちゃんは変化なしだ。

「食べ終わるまで無理だよぉ」
「はあぁ!?何を言って……」
「お兄ちゃん。食べるので一生懸命で全然聞こえてないんだもん」
「な、何だとぉ!?」
のど元のナイフが食い込む。

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