■すまにーとばーわ(3)

ふぇぇぇぇ〜ん!
お兄ちゃんが言った通り早く隠れていたらよかったぁ。お兄ちゃん気づいてくれないかなぁ。

なんて望み薄でお兄ちゃんの方を見直すとさっきの奴は同化してしまったのだろう、お兄ちゃんは近くで腰を抜かして座り込んでいる奴に移動しようとしていた。

この機会を逃したら本気で殺されちゃう。

「お兄ちゃんっ!お兄ちゃんっ!お兄ちゃ〜んっ!」
情けない声を出すとお兄ちゃんは、やっと私の状況に気付いたのか移動を止めた。だらりとした液体が縦に伸びて人の形を作り、最後には元のお兄ちゃんに戻っていく。

「リズ!」
「動くな!」
近付こうとしたお兄ちゃんに男が叫ぶとお兄ちゃんはぴたりと動きを止めた。

「そうだ。そのままそこに座りな。間違っても化け物に変わるんじゃないぞ。お前が動いたその場でこいつの首切り裂くからな」
「ちっ」
お兄ちゃんは舌打ちをするとその場に腕組みをして座り込み、ぶーたれた顔で男を睨んだ。

「これでいいんだろう?」
「ああ、そうだ。そのまま大人しくしてろ」
男はお兄ちゃんの後ろに剣を持った仲間が近づくのを見てにやにやと笑う。

「そうすればお前の妹の命は助けてやるよ」
「オレたちがたっぷり可愛がった後、売っぱらうけどな」
後ろの男が剣をお兄ちゃんに向かって振り下ろした!


お兄ちゃんは人型になっているとは言え基本はアレなので、実のところ火や魔法で攻撃されない限りダメージはない。だから男の剣は身体の中を打ち下ろした勢いのまま地面に打ち付けられた。

「うおっ!?」
手応えをなくし男はバランスを崩し、前のめりに倒れ込む。お兄ちゃんはしゅるしゅると紐状になってその男の四肢に絡みついた。

「ぎゃぁぁぁぁ!」
じゅうじゅうと煙を出しながら男の手足が溶かされていく。

普段なら全部包み込んで余すところなく同化するところを部分的に残して溶かしているって事はお兄ちゃんはものすごく怒っているみたい。まあ、いきなり斬りつけられたんだから当然と言えば当然なんだけど。

「おいっ!妹がどうなってもいいのかっ!」
お兄ちゃんのいきなりの行動に後ろの男が悲鳴のような声を上げた。

すると視界からお兄ちゃんが消える。残ったのは首と胴体になったまま呻いている男だけだ。

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