■すまにーとばーわ(9)

光の矢が手に持った杖から幾重にも放たれる。

「ぐあっ!」
それは狙いを違わず女性の前にいる山賊にすべて命中した。

「な、何だ!」
山賊が女から離れ、光の矢が飛んできた方へ顔を向けると、そこに集中砲火のごとく光の矢が続けざまに飛んでくる。

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!!」
男たちは悲鳴を上げて逃げまどう。しかし、光の矢は確実に命中して山賊達を倒していった。

「とりあえず。面倒なのは片づけたから……っと」
お兄ちゃんが続けて呪文を唱えると、今度は小さなつむじ風が杖から生まれ男たちに向かっていく。

「うわぁぁぁぁぁ!」
その風は鋭利な刃物の様に男たちを切り刻み、はね飛ばす。山賊達は次々と数を減らしていった……。


山賊を全て倒したのを確認すると、私達は二人を助け起こす。二人の話によると彼らは私たちが向かう予定の街から駆け落ちをして山間の知り合いのところに身を寄せる所だったそうだ。夜にあの山に入ったのも追っ手をまくためだったらしい。

彼らは擦り傷や殴られたりしていたけれどそれ以上の事はされていなかった。乱暴を働かれる前にお兄ちゃんの魔法が間に合ったのだろう。

二人は私たちに礼を言った。

◇ ・ ◇ ・ ◇

私たちは山間の村の入口まで彼らを送り届けると、今来た道を引き返した。

「お兄ちゃん」
「ん?」
「ありがと」
「なんの。あれしき」
「私、助けるなんて言って結局お兄ちゃんに任せちゃったし」
「かまわないさ。可愛いリズがあんなやつらの慰み者になるなんて考えたくもないからな」
「確かにまともに戦った事自体ないけどさぁ」

私はいつもお兄ちゃんに守られていて戦いにはほとんど参加をしたことがない。お兄ちゃんが一人で倒して私はそれを感心して見ているだけなのだ。

「リズは吟遊詩人なんだから、戦うのはオレに任せておけばいいの」
「それだって……」
「側にいてくれるだけでオレは幸せなんだからそれぐらい何でもないさ」
抱き寄せられて髪をくしゃりとかき回される。

「えへへ……」
何となくお兄ちゃんに腕を組み、そのまま寄り添って歩いた。

「それにその見返りは今からもらうから……あ、リズこっちだぞ」
お兄ちゃんは山道を外れ、枝分かれした細い獣道を選んだ。

「見返り?」
「そ、見返り。あれだけの食料を我慢した見返り」

……。
えっと?

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