■すまにーとばーわ(18)

「リズ」
「ん?」
「オレ、リズに謝らなきゃいけないことがある」
「謝る?」

お兄ちゃんは頭をかきながら気まずげに話を始める。

「あー。実はな。昨日リズが途中で気い失った後、山賊の生き残りが戻ってきたんだ」
「……まだ、いたんだ」
「ああ、でな。いきなり襲ってきたから思わず食っちまってさ……」
「はぁ?」

思わず食べたって?お兄ちゃんは魔法使いなんだから魔法で片つければいいのに。

「んでな。一人食ったら口が寂しくなってきて……」
「はあ〜〜!?」

あれだけ食べておきながら?

「そういや夕べ、魔法で倒して転がしておいた奴らがいたなって……」
「全部食べてきた……と」
「そうだ。んで、食いきった後に「ぶよぶよのお兄ちゃんは見たくない」って言うリズの言葉を思い出してだな」

出来れば食べきる前に思い出して欲しい。

思わず頭が痛くなったけれど、ふと気づく。でも、今のお兄ちゃんはぶよぶよどころかすらりとしてるじゃない。

「でも、今のお兄ちゃんはぶよぶよじゃないよね?」
「ああ、それは必死で考えて何とかした」
「……何とか?」

お兄ちゃんは「ふふふん」と楽しげに笑う。

「食い過ぎた分を上手く分離させてみたんだ。これが案外上手くいってな。ほら、これ見てみ」
「?」
お兄ちゃんが指を指したのは足下。何故か足にロープが結わえられていてそれが部屋の入り口に向かって伸びている。

お兄ちゃんは屈んでそのロープを掴み軽く引っ張った。すると入り口から何故かお兄ちゃんが顔を出す。

「は?」
状況が掴めなくて側にいるお兄ちゃんと入り口にいるお兄ちゃんを見比べた。そんな私に二人のお兄ちゃんは苦笑しながら顔を見合せ、入り口のお兄ちゃんも私の側にくるとそのまま床に座った。

「さすがに切り離したらオレじゃ制御出来ないし、その分腹が減るからこうやって繋がってるけどな。慣れてるからとりあえずオレにしてみたけど面白いだろ?このロープをごまかせば隣の街にも問題なく行けるしな」
「はぁ……」

器用だなぁ。スライムの本能を制御しながら今の姿形を作っているはずなのにもう一つ作っちゃえるなんて。

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