■彼女が欲しい(1)

残業で遅くなりオレはとぼとぼとひとり帰路についていた。
なにげなく空を見上げるときらりとした輝きが空を流れていく。
「わぁ。流れ星」
近くを通りがかった親子が声を上げた。
「パパ。流れ星が消える前に3回願い事を言うと願いがかなうんだよね?」
「そうだよ。ほら、また流れた。急いでお願いをしてごらん」
「えーと……」

流れ星に願いなんてガキじゃあるまいしと思いつつも心の中で願い事を唱えているオレがいた。
ま、かなうわけないだろうけどな。

◇ ・ ◇ ・ ◇


一週間ほど経って───

ピンポーン
夜。オレがアパートでくつろいでいるとチャイムが鳴った。

こんな時間に誰だよ。

思いつつも玄関の扉を開けた。 黒ずくめの黒いサングラスの男達がそこにいた。
「石野さまのお宅ですね?まことさまはご在宅ですか?」
「ああ、石野まことはオレだけど?」
「お届け物です。ここに判子をお願いします」
「お届け物?」
差し出された送り表には『流星サービス(株)』と書かれており、品名には『川澄知香』……!?

誰だ?

「……『川澄知香』って誰!?」
「彼女ですよ。一週間ほど前に流れ星に『彼女が欲しい』と望んだでしょう?」

そりゃしたけどな。しかし……。

「当社では一万回の願いに対して一回叶えるという業務をしておりまして石野さまの願いが受理されたと言うことで、彼女を拉致してきました」

本人の意志なしじゃまずいだろう?!

「あなた好みの女性でしたのですぐにお持ちしようと思ったのですが、彼女、婚約者がおりましてね。その男を忘れてくれないんでほとほと手を焼きました。しかし、ご安心ください。こちらもプロです。彼女に未練が残らないように相手の男はこちらで処理させていただきました。今はあなたなしではいられないように洗脳してあります」

処理?! 洗脳ぉ〜!!

「さ、川澄さん。いらっしゃい」
「はい……」
男の後ろからマントを羽織った小柄な女性が姿を現す。

たしかにオレ好みだ。

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