■犬が欲しい(1)

ピンポーン

何だ?こんな時間に

オレは食器を洗う手を止めて玄関に赴いた。

「前田さまのお宅でしょうか?」
「うちだけど?」
「流星サービス(株)と申します。お届け物です」
「お届け物?」
玄関を開けると黒ずくめにサングラスのいかにも怪しげな男たちが目の前にいた。

「はい。こちらの犬をお届けに上がりました。サインか判子をお願いします」
「犬?そんなものを頼んだ覚えは……な!?」
そこには素っ裸に栗色のイヌミミとしっぽをつけ首輪にリードをつけられた女性がお座りをしている。

「一週間ほど前にこちらの娘さんでしたか。流れ星に『犬が欲しい』と願われたのでその願いが受理されたのですよ」
「確かに……まゆが欲しいと言っていたが……」
「まゆさんとおっしゃいますか。幸運な方ですね。流れ星への願いは一万分の一の確率でしか受理されないんですから」
「……しかし、これが犬……だと?」
「犬ですよ。ほらよくご覧ください」

どう見ても普通の女性にイヌミミとしっぽをつけただけにしか思えない。オレはいぶかしげに彼女の顔をのぞき込んだ。イヌミミの女性はわかっていないのか無邪気に笑みを返す。

「どこをどう見たって人間だろう?」
「違いますよ。ほら、ぽち、お手」
「わんっ!」
サングラスの男が差し出した手の上にその犬と呼ばれた女性は手を乗せた。

「よくできたな」
男に頭を撫でられると彼女は嬉しそうに目を細める。

「これでもまだ人間だと?」
「だから……」
「こんなに芸達者なんですよ。ほら、伏せ!」
「わんっ!」
「おまわり!」
「わんっ!」
「ちんちん!」
男の声にためらわず前足をあげ、彼女はちんちんのポーズをとった。

「うわぁぁぁぁ……止めろ!止めてくれー!」
「くうん?」
オレがわめくと黒めがねはストップをかけた。彼女はなぜ止められたのだろうと不思議そうに小首をかしげる。
彼女は裸であり、もちろん下着なんかつけていない。だからそのグラマラスな胸もわずかばかり恥毛の生えている秘処も丸見えだ。妻と離婚をして早三年。その間他の女性との性的接触はなし。幼い子供がいるために風俗にいく時間さえもとれない。むなしく手淫ですませる毎日のやもめ男には刺激が強すぎる。

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