■犬が欲しい−その後− ウェイフ作(3)

「わん!」

 おっと、あぶないあぶない。危うく変態への道を踏み出すところだった。

 すぅ、はぁ、すぅ、はぁ。……よし、これで大丈夫だ。
 コンビニに出かけて戻る頃には、もう気持ちも落ち着いているだろう。

「すまないな。急いでミルクを」
「わん!」
「おいおい、しがみつかれたらミルクを買いに行けないぞ」
「わんっ!」
 
 今日はどうしたんだ? 今までオレが出かけようとするのを邪魔したことなんてないのに。

「わん!」

 参ったな。彼女が何を考えているのか、さっぱり分からない。

「くぅ〜ん」

 うっ、そんな切なげな瞳でオレを見るな。ちょこんとお座りをして、何かを訴えているのは確かなんだが……
 ここは、思いきって好きなようにやらせてみるか。

「分かった。ぽち……よし!」
「わん!」

 オレが許可を出した途端、じゃれついてきた。何だ、結局遊びたかっただけか。

「ぺろっ」
「うっ!」

 彼女が満足するまで遊んでやってから買いに行けばいいか、と呑気に思っている場合じゃなかった。
 
「お、おいっ! ぽ、ぽち?!」
「ちゅ……んふぅ……じゅるっ」
「うぉっ!」

 ……駄目だ、へっへっと荒い息が返ってくるだけで、もうオレの声は届かない。
 
「んくっ……ぺろっ、ぺろっ」

 あぁっ、そんなに激しく舐められたら、もう……

 すまんまゆ、お父さんを許してくれ。



「たっだいま〜」
「わんわんっ!」
「ぽちただいま! あれ? パパ、何か疲れてない?」
「そ、そんな事はないぞ」

 そう、オレは疲れてなどいない。ただ、ぽちに『餌』をやっただけだからな。あぁ、そうさ、それだけのことだ。

「そう? ならいいけど……あっ、ぽちのミルク買ってきてくれたんだ。ありがとうパパ」
「い、いやいや」
「……? このミルク、なんだかネバネバしてるよ。いつものと違うの?」

 あぁ、そんな風に指を閉じたり開いたりするなんて、駄目だぞ、まゆ。
 年端もいかない娘が何て事を。あぁぁ、こんな事がばれたら確実に親権剥奪だな……。

「パパ?」
「あ?! あぁ、そ、そうだ……い、いつものやつは、あああ後で買ってくるから」
「……変なパパ。くんくん、変な臭い。これ、おいしいの?」
「うわぁ! 舐めるなぁっ!!」

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