■秘密のお茶会(1)

つかさくんは私の家の隣の大きなお屋敷に住んでいる同級生の男の子。昔っから、あまり友達らしい友達も作らないで一人でいる事が多いんだけど幼なじみの私とは不思議と仲がいい。未だに、週に何回か私は彼の家に行く。成績のいい彼に勉強を教えてもらうというのが口実だけど本当は彼の作ったクッキーを食べるのが目的。

つかさくんの作るクッキーはすごく美味しい。昔から食べてるけど全然飽きなくて好き。だから彼から「クッキーを焼いた」と聞くとふらふらと遊びに行ってしまう。


玄関の呼び鈴を押すと初老の男性が戸を開ける。
「凪さん、いらっしゃい」
「こんにちわ。つかさくんは?」
「部屋でお待ちですよ。どうぞ」
彼は私を見てにっこりと笑みを浮かべ奧へと手を伸ばした。
「ありがとう」

仕事で忙しい彼の両親は仕事場の近くに各個人でマンションを借りてしまってほとんどこの屋敷には帰ってこない。その代わりに身の回りをする執事さんがいるのだ。

「つかさくん。来たよ」
「ああ、入ってこいよ」
「うん」
私の部屋の何倍もあるお部屋のソファにいつものように彼は座ってる。

その前のテーブルには彼の作ったクッキー。
ごくん……。


「立ってないで座れよ。食べられないだろう」
クッキーに見とれていたらつかさくんが声をかけた。私は慌ててソファに向かうけれど彼の隣で立ちすくむ。

「どうした?座らないとオレが全部くっちまうぞ」
「や、やだ座るもん」
私は慌てていつものように彼の方を向き膝にまたがった。落ちそうになるから彼の身体に手を回して安定をさせる。

「いつも思うけどこれって礼儀作法から思い切りはずれていると思うよ」
「うちでお茶をする時はこれが決まり。他ではやるなよ。特別なんだから」
「何が特別なんだか。でも、やっぱりおかしいと思うんだよね。つかさくんのお膝に座ってお茶するの」

次→
目次|
inserted by FC2 system