■秘密のお茶会2(1)

「今日も焼いたんだが来るか?」
「うん。行く」
そんな会話をして凪と家の前で別れた。


「ん?」
何気なく凪ん家の方を見たら家に着いたのを見計らったかのように凪に近づいた男がいた。うちの学校の制服を着ており、凪が親しげにしているところを見ると知り合いなのだろう。オレもどこかで見た気もするんだが距離があることもあり誰かわからない。
彼女はそいつと立ち話を始めた。

何を話してるんだ。
気になって仕方がない。

オレは家の門戸をくぐると家の敷地の一番凪の上に近い塀の所まで行った。鞄を地面に放ると塀に沿うようにして生えている木に登り、凪の家の様子をうかがう。隣とは言え、道路を隔てているためか少し距離があり、生い茂った木のおかげか向こうからはオレの姿は探そうとしない限り見つかる事はないはずだ。

…………。
見覚えがあると思ったらうちのクラスの小谷じゃないか。特に目立つやつじゃないが、委員会が一緒だから名前と顔だけは何とか覚えている。それが何で凪と話してる?

オレは会話を聞き取ろうと必死になった。
風にのって二人の会話がとぎれとぎれ聞こえてくる。

「……に、北村さんがこの映画見たがってるって聞いたから」
奴はチケットが入っているらしき封筒を凪に見せた。

「あ、うん。この映画見たかったんだけど今週末まででしょ?今月お小遣いピンチでレンタル出るまで見れないなって諦めていたの。嬉しいな。ありがとう」
「僕の方こそチケットが無駄にならなくて良かったよ。でね、もし良かったら……」
車の行き交う音で声が遮断され、舌打ちをした。

もし良かったらどうしたいって言うんだ?
気になる。

必死に彼らの声を拾うが何故か車の途切れる様子がない。オレはいらいらしながら道を通る車たちを呪った。

「……」
車に邪魔されながらも凪とその男が話を弾ませている様子だけは見て取れた。オレはやりきれなくなり、木から降りるととぼとぼと家に入った。


十数分後。
凪がいつものようにやってきた。気のせいか少し浮かれているようにも見える。

「何かいいことでもあったのか?」
「やっぱわかる?えへへ。あったんだよねー。土曜日が楽しみなんだー」
「何だ?」
「へへー。ナイショ」
「教えろよ」
「やだよん。教えないもん」
「……」

オレには関係ないって事か。

身体から力が抜けていく。

そっか。やっぱりデートの誘いだったんだな。
浮かれてる様子からして凪もまんざらでもないんだろう。

←前|次→
目次|
inserted by FC2 system