■秘密のお茶会2(2)

凪はオレなんかと違って明るいし人付き合いも良い。それより何より可愛いから遅かれ早かれそういう男が出てくるだろうとは思ってた。


「なあ、凪」
「ん?」
オレの膝で幸せそうにクッキーを頬張る凪に声をかけた。

「凪はオレがクッキーを作らなくなったらどうする?」
「困る」
凪は眉を潜めて即答する。

「だって、つかさくんのクッキーってすごく美味しいんだもん。お店で買ったものも食べるけど全然味が違うし」

これは母親の家で代々伝わる古いレシピだから余所のモノとは明らかに味が違うはずだ。

「それにレシピ通り作っても全然同じ味にならないんだもん」
凪はそう言ってすねたように口を尖らせた。
が、それは一部間違ってる。
お前がいつも家庭科でつくる菓子類のひどさを知っているが、どう見てもレシピ通り作っているとは思えないから。おおざっぱなお前の事だ、分量絶対正確に計ってないだろう?

と、余計なつっこみをしつつ認識した。
凪はオレに会うために来てるんじゃなくて本当にクッキーだけを食いにいているんだと。

そんなことは重々承知だったはずなんだがそれでもと淡い期待をしていたオレには最終宣告のような気がした。

「つかさくん、ひょっとしたら作るの嫌になったの?」
「んー。まあ、そんなところだ」

オレがクッキーを作っているのは凪に好きだと言えないオレの遠回しなアプローチだ。妙だとは言えスキンシップを図っていればそのうちオレに気にかけてくれるんじゃないかなんて淡い期待もあったんだが、これじゃ意味がない。無頓着な凪の事だ、小谷と付き合いながらもオレのクッキーを食いに来るだろう。他の男のものになった凪にクッキーを食わせるのなんか虚しいだけだ。こうやって凪を膝にのせるのも今日で最後にしなくちゃな。

「えー。どうして?ずっと作ってくれていたじゃない。私、つかさくんのクッキーが食べられなくなったらすごく困る。だって一番慣れ親しんだ味っていうか好きなんだもん」

どくっ。

好きという言葉だけに反応してどうする?

オレは頭の中で苦笑した。

「あ、そうだよ。私いつも食べてばっかりで何もしてないもん嫌になるよね。ごめん気付かなくて。でも、何がいいかなぁ」
凪は腕を組んで考え始めた。

「何かお菓子……って言っても今月お小遣いピンチですっからかんだし、つかさくん私よりも頭良いから勉強教えてあげるってよりも教えてもらう方だし……」

「凪にしか出来ないことしてもらおうかな」
「……私にしか出来ないこと?」

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