■秘密のお茶会2(3)

凪はきょとんとした顔で小首をかしげた。

「例えばクッキーを作ったオレに対して労いのキスをするとか。あ、もちろん口にだぞ」
「あうっ?な、何でキスぅ〜?」
凪の顔が一気に赤くなる。

「嫌なのか?」
「え?え?え?だって……そゆの、そう言う事で気安くするものじゃないし……だからっ」

「嫌なのか?」
「あうっ。そ、う……じゃないけど……でも……さぁ……」
凪はそのまま口ごもった。

気安くできない……か。やっぱり、オレは恋愛対象にはならないんだな。

「そうか。わかった。確かに好きでもないやつに出来るわけないよな」
「ちがっ。つかさくんの事は嫌いじゃない……けど……でも……」
「いいよ。無理しなくっても。うん。わかった。悪かったな。変な事を言って」
オレはそう言って凪を膝から下ろした。

この様子から言っても凪が小谷のやつとつき合うのは間違いはないだろう。今まで肝心な事を言わなかった自分に腹が立ったが仕方がない。言えなかったんだから。先に言った方の勝ちだよな。

「…つかさくん?」
「ちょっと待ってろ」

オレは凪を置いてキッチンに行った。戸棚から小さな菓子を入れるための紙袋を取り出すとその足でまた部屋に戻る。皿の上に残っていたクッキーをそれに入れ凪に手渡した。

「何?え?どう言う事?」
「持って帰ろ」
「持って帰ろ……って。何で?」

「悪いけど一人になりたいんだ。だから今日はもう帰れ」
「つかさくん?何で急にそんな事言うの?変だよ」
「ああ、変だから一人になりたいんだ」

「でも、でもさあ。持ち帰っちゃいけないって言ってたのにこうやって渡すって事はつかさくんはもうクッキー作ってくれないの?」
「ああ、少なくとも当分は作りたくないから作らない」
「当分って……あー!ひょっとしてつかさくん多分勘違いしてる」
「してないさ」
「してるって」

「だって凪はオレにキスするのが嫌なんだろう?」
「違うって。つかさくんにキスするのが嫌だなんて言ってない。クッキーの交換条件にキスなんて気安く出来るもんじゃないって言ってたの。好きな人に好きっていう気持ちを込めてするものでしょ?つかさくんになら……えと……あ、あの……キスするの……嫌じゃ……ない……んだよ」

「……へ?」
「だ、だからぁ。つかさくんにキスするのは良いけど、クッキー作って欲しいからキスするのは好きじゃない。……だけ……なの」
凪は尻つぼみになりながらそう言って顔を伏せた。

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