■秘密のお茶会5(1)

季節が少しだけ変わってもあい変わらず下校後はつかさくんちに行く。

「つかさくん。来たよ」
「よお。入れよ」
つかさくんはいつものようにお茶の準備をしてソファに座って待っていた。
でも、テーブルの上に乗っているのは……。

「あれ?今日はクッキーじゃないんだ」

ちょっと残念。
なんて思ったんだけど。

「いや、クッキーもある。けど、たまには違うもんもいいかと思ってな。スコーンを焼いてみた」
「へぇぇ。スコーンかあ。で、スコーンてなに?」
「知らないのか?イギリスなんかじゃ。お茶の定番なんだぞ」
「へぇぇ」

あ、何かケンタくんのビスケットみたいな感じ。

「食べるだろ?」
ジャムをスコーンに付けて手に持ったつかさくんが私を手招きした。

「おろ?口移しじゃないの?」
「ちょっと無理だ。あごが痛くなるから」
「試してみたんだ」
「一応な」

つかさくんがスコーンを口にくわえたところを想像してくすりと笑う。それを見てつかさくんは少しだけ顔を赤くして膝をたたいた。

「ほら、座る」
「それはありなんだ」
「当然」
言われたとおりつかさくんの膝をまたぎ、腰を下ろす。

「よいしょっと」
つかさくんの身体に抱きつくようにして身体を安定させると口の前にスコーンが差し出された。

それを一口かじる。

うーん。ケンタくんのビスケットより硬めかな。

さくさく。

でも、やっぱりつかさくんだな。思いつきで作ったみたいに言ってたけど美味しいの。周りはさっくり。中はしっとり。スコーンってこういう味なんだ。

もぐもぐ。

悔しいけど私にはこういうものをうまく作る技術はない。

「どうだ?」
「うん。美味しい」

もぐもぐ。

「んでも、この食べ方するならクッキーの方がいいな」
「やっぱ、口移しの方がいいか?」
「馬鹿」
つかさくんが顔を近づけてきそうになったから思わず手で制す。

「違うって。ほら、こぼれちゃうでしょう?」
口の周りにはスコーンのかす。それに膝や、つかさくんの服にもぼろぼろぼろぼろと食べかすがいっぱい。

「そうだな」
それを見たつかさくんは苦笑いしながらハンカチで私の口をぬぐってこぼれたかすはハンカチで払いのけた。

「最近、クッキーを残すから飽きたんじゃないかと思って別のメニューを考えたんだがな」
「違うよぉ。あれは」

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