■キチガイなお茶会(6)

どたっ。

「いでっ」
背中が打ち付けられる痛みで目を覚ました。
どうやら床に転がり落ちたらしい。

「あー?」
だんだんと覚醒していく頭で今の状況を把握していく。
身体を見慣れた机にベッド。私の部屋だ。

「何だ、夢かぁ」
何だかほっとして、反動をつけて上半身を起こすと床にあぐらをかいて座った。

いくらなんでもあれはおかしかったもんなぁ。
私の胸からミルクなんてねぇ。

なにげに胸を見たらパジャマ代わりに着ているTシャツがしっかりまくれてる。
慌てて胸をTシャツの中に入れると目覚ましが鳴った。

◇ ・ ◇ ・ ◇

「待たせたな」

ちょっと早くつかさくんちに行ったら
「早すぎ」
って言われて。庭で待たされた。

何だか夢と同じような展開だなぁなんてぼうっと待っていたら、
つかさくんとバスケットと大きなパラソルを持った中沢さんが現れた。
中沢さんは庭の中央にある白い金属製のテーブルにバスケットを置いてふたを開ける。
そして、手際よくテーブルの上にお茶の道具や、中のお菓子を並べ終えると、
空のバスケットを持ってお屋敷に戻っていった。

「ほら、凪」
ぽんぽんと膝を叩くのはいつものことなんだけどあんな夢を見た後だからなぁ。
ちょっと抵抗があってためらった。

「どうした?」
「あ……いや……えっと……」
「何だ。お茶をしに来たんだろ?」
怪訝そうに言うつかさくんはそういってもう一度膝を叩く。

そうなんだよねぇ。つかさくんは燕尾服も着てないし、トップハットも被ってない。
普通のシャツとジーンズなんだからあんなことにはならないだろう。

私はいつも通りつかさくんと向かい合わせに座る。
『反対に座れ』って言われたらどうしようかと思ったけど何も言われない。

よかった。


ほっと息を吐くとまたつかさくんが怪訝そうな顔をした。
私は慌ててつかさくんにリクエストをする。

「あ、つかさくん。お茶欲しい。お茶」
「めずらしいな。食い物が先じゃないんだ」
「つかさくん、私を絶対に誤解してる」
「いや、十分理解してるんだと思うぞ?」
意地悪げに笑ってカップを手に取ると口に含んだ。

やっぱりつかさくんはストレートティ派なんだろう。
おかしな帽子屋さんみたく『ミルクがない』なんて言わない。

そうやって夢とひとつひとつ違いを見つけて安心してる自分って何なんだろうなぁ。

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