■素敵な仕事場2(1)

その農場は郊外にあり、とても広い土地にゆったりと牛が散策をしているようなのどかな場所だった。

オーナーは由真の真剣な様子を買ってくれたのか簡単な面接を受けた後すぐさま採用され、次の日から働く事が決まった。

◇ ・ ◇ ・ ◇

ことり…

「うちの農場で作られているものです。飲んでみてください」
優しい物腰の農場のオーナーの森島はそう言って彼女の前にコップを差し出した。由真はコップに口を付けた。ほのかに甘い懐かしいような匂いがする。一口飲むとそのあまりの美味しさにびっくりしてそのまま一気に飲み干した。

「はぁ…美味しいです。これ…」
「あなたは味のわかるお方のようですね。安心しました。これはうちのオリジナル商品「小夜子のミルク」と言うんですよ」
「小夜子…って牛の名前ですか?」
「違いますよ。女性の名前です」

育てている人の名前をつけているのだと由真は思った。

「うちはいろいろなミルクを混ぜると言う事はいたしません。純粋に個人個人違った味を楽しんで頂こうと思いましてこのような商品名をつけているんですよ。…ですからミルクごとに固定のファンがいて売り上げもかなり違います。あなたにも美味しいミルクを出せるように頑張って頂いて「由真のミルク」がたくさん売れるようにして下さいね。その分、お手当が良くなりますから」
「あ、はい。頑張ります」

「もう一杯いかがですか?」
「あ…頂きます」
由真は出されたミルクを味わうように飲み干しカップをテーブルに置く。

「…最初は心配していたんですよ。こんな高額なお仕事…本当にあるのかって…」
「運のいい事にうちの商品がよく売れておりましてね。人手が足りない位なんですよ。うちはとても品質の良い商品をお客様に提供しているので少々お高いのです。それでも気に入った方は必ず買ってくださる。だからこれだけの給料も払えるのですよ。それにあなたは真面目そうな方ですし、そう言った方に働いてもらえる方が当方としても助かりますから」
「私のようなものでもつとまるかちょっと心配ですけど…よろしくお願いします」

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