■素敵な仕事場10(2)

その夜───
森島は事務所に戻ると早速受話器を取った。番号を打って数回コールした後に相手が出た。

『はい。川島です』
電話の相手は由真の父親だった。

「お久しぶりです、川島さん。森島です。今日はお預かりしている由真さんの事でお伝えしたい事がありまして電話をさせて頂きました」
彼は嬉しそうに報告をしながら、監視カメラの部屋を切り替え由真の部屋を映し出した。

「…はい。彼女は立派に産んでくださいましたよ。もう少し大きくならないとパートナーを付ける事は出来ませんが、とても元気な子供です」
『しかし化け物の子だろう?由真は気味悪がっていただろう?』
「まああなたから見ればそうでしょうけど。彼女にとって自分が産んだ特別なモノなんですよ。母性というのでしょうね。乳をあげたり、抱き上げたり、それはもうパートナーと一緒になって可愛がっていますよ。強引にくっつけてしまいましたがああいった様子を見ているとよかったと思いますね。彼らはきっと結ばれるべくして結ばれたんだと思いますよ」
『……しかしな』
「ああ、それからまた繁殖行為も始まりましたから次の子供が出来るかもしれません。産んだばかりだというのに彼が求めると彼女も子供をあやしながら幸せそうに受け入れていましたよ。本当に由真さんは彼を愛しているのだと思いますよ」
『私は未だに信じられん。あんな気味の悪い生物と愛し合っているとは』
川島の大きく溜息をする音が聞こえた。

『ところで、富砂恵は?富砂恵の様子はどうだ?』
「気になりますか?」
『当然だ』

森島は、画面を切り替えて別の部屋を映し出す。恍惚の表情の女性がたった今絶頂を迎えたところが映し出された。彼女は触手が蠢き始めるとまた腰を動かし始める。もう本能だけで動いているとしか思えない。よだれを垂らしながら焦点の合わない目で嬌声を上げていた。その女性の顔はどことなく由真に似ている。

「奥様もお元気ですよ。前にあなたの手紙を読んであなたの事を気にされていた様ですが今はすっかり忘れて毎日あれと戯れて絡み合ってます。もう、何が目的でここに来たかなんて忘れていると思いますね」

モニタの中の彼女は最後に大きく体を震わせるとそのまま気を失って触手に倒れ込んだ。森島はそれを確認するとまた別の部屋にカメラを切り替えた。


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