■素敵な仕事場10(3)

「しかしあなたもひどい人だ。旧友のよしみでいいますけど、奥様や娘さんまでここに来るようにし向けて金を稼がせるだなんて」
『だが、彼女らは自分の意志で君のところに行ったんだ。私が強制したんじゃない。それに私は、二人に借金を返した後、戻るように言ったんだ。戻りたくないと言ったのは二人の方だ』
「…ええ、まあ、確かにそうでしたね。ですが、そうは言っても、借金を返済してから彼女たちの稼ぎで暮らしているだなんてどうかと思いますよ?」

川島は言葉を詰まらせた。そしてしばらく沈黙ののち、おもむろに口を開く。

『それは…私が働くよりも彼女らの仕送りが半端でないからだ。だが、私は遊んでいるわけじゃない。いずれ二人が戻って来た時の為に蓄えはきちんとしてるんだ。それに、それを言うならお前だってそうだろう?人の事を言えた義理か?』

「ふふっ、あなたほどじゃありませんよ。私は少なくともきちんと働いております」
『とにかく、あまり人聞きの悪い事を言うようなら無理矢理にも連れて帰るからな。二人が帰りたがらないからそっちに置いてもらっているが本当は連れて帰りたいぐらいなんだ』
「そして彼女たちが稼いだお金であの生物を手に入れて彼女たちのミルクを売るのですか?」
『!……』
「おや?図星ですか?まさか本気でそんな事をお考えだったんですか?それはおよしになった方がいいですよ。あれは案外繊細な生き物です。環境に慣れるまでに時間もかかりますし、私のように生態に詳しい者でないと簡単に死なせてしまいますからね」

『ま、まあともかく。大事な妻と娘を預けているんだ。大事に扱ってくれよ』
「もちろんですよ。質の良いミルクを出してくださる方はなかなかおりませんからね。奥さんはもとより由真さんは特に大切に扱わせて頂きます。牝が少ない以上、あの生物の子を産む事が出来る方は貴重です。彼女にはまた、産んで頂くように排卵誘発剤を投与しようかと思ってるんですよ」

『おい。人の子供に勝手に…』
「だから今お話ししているんです。あれの子供はかなり高額で取り引きされます。借金をして買っても良質のミルクを出す女性に出会えばすぐに利益が出ますから、買い手は引く手あまたでしょう。子供が生まれて売れたらあなたもその配当はお渡しします。ミルクの報酬とは桁が違いますよ?もちろん、許可して頂けますよね?」

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