■素敵な仕事場おまけ(5)

その頃から森島は彼女とこうやって愛し合うようになった。

毎日彼女の様子を見て声をかけていたからまだ小夜子は違っていたがパートナーの事しか頭に無くなり、残してきた家族の事が段々とどうでも良くなってくるそんな他の女性の様子を見て不安になったのだ。


触手から下腹部を離さなければ彼女も触手も嫌がらない。逆に森島を夫として愛しい者として受け入れる。触手も胸だけは搾乳機で普段から遮断されているためか少しの間なら彼を排除しようとはしないからだ。

最大限触れる面積で彼女を最大限愛す。それは彼なりに考えた愛し方だった。


森島は彼女と触手を切り離そうといろいろ調べた。ある事はあったが、どちらかが死んだ場合だけだった。しかも、触手が死んだ場合、女性はすぐに別の触手を与えてやらないと気が触れてしまうと言う事まで分かっている。無理矢理引き離すのと大差ないのだ。

いつか…彼女を自分の元に取り戻すその方法が見つかるまで彼は彼女とずっとこうやって愛し合う。彼女が彼を忘れてしまわないように。


◇ ・ ◇ ・ ◇


小夜子が触手とのふれあいに疲れ安らかに眠るのを確認すると、森島は彼女に近づき胸に機械を取り付け直す。

「小夜子さん…いつか…きっと……諦めませんからね」
無邪気な寝顔の彼女の頬にそっと手をやって呟くように彼は言った。触手はぴくりと動くが特に何も行動を起こさない。毎日繰り返されている事に慣れっこになっているのだろう。

「んぅん…」
彼女が少しだけ身じろぎをした。触手が彼女を優しく移動させる。

幸せそうな彼女の寝顔を見て寂しげに微笑み
「では、また明日…」
彼は愛しい妻がいる部屋を出ていった。

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