■増幅師(2)

オレは近隣の山で暴れているストーンゴーレム退治に向かった。
ゴーレムを操ろうとして魔法が暴走してしまい魔術師が泣きついてきたというのがそもそもの依頼だったんだが、しかしよくよく考えてみるとゴーレム相手に炎で対抗しようなんて考えたのが間違いなんじゃないだろうか。石で出来ているゴーレムにはあまり効かないはずなんだよ。

しかし、そのゴーレムは依頼人が言っていた所よりもかなり町寄りに移動をしておりいい加減なんとかしないとまずい距離にまで来ていたから今更引き返して誰かを雇い直す…なんて事は出来そうにない。

とってもまずい状況だ…

「…」
彼女は遠くから倒す相手をひと目見ると冷静な顔で
「…私の出番はなさそうですね」
とそそくさと俺から離れて行こうとした。

「ちょっと待て!逃げるな!」
オレは彼女の腕をローブの上から掴む。華奢な細い腕だ。
「どうしてですか?だって私増幅師ですよ。魔法を増幅する事しか出来ないんです。足手まといにならないようにしてはいけないんですか?」
「大枚払ってるんだ。そんな事はオレが許さない。多少は離れても良いが逃げるんじゃねぇ」

ここで彼女にとんずらされたとあってはただでさえ無駄金を払ったオレが思いっきりバカみたいじゃないか。

「大丈夫ですよ。あなたがやられたら骨は拾って帰りますから。安心して倒されてきてください」
「お前、なんちゅう縁起でもない事を言うんだ。オレの腕を信用してないな」
「見た事ないんですから信用するもしないもないでしょう?」

オレは彼女の物言いに呆れ返って頭をかいた。
「…ったくああいえばこういう。お前な、オレはまがりなりにも雇い主だぞ」
「…こういう性格なんですよ」
彼女はしれっと答える。

「はぁ…こんな事だったら他の町も回ってお前なんかじゃなくてきちんとした魔術師を雇うんだったぜ」
「すみませんね。でもあなたも悪いんですよ。ギルドの方にご自分が種火しか使えない魔法剣士だと伝えなかったんですから」
「普通言うか?」
「…言いませんね。…でもだから魔法剣士なら私でも大丈夫だろうと判断されたんですよ」

畜生!だからギルドのヤツは何も言わなかったのかよ。この仕事終えたら絶対クレームをつけに怒鳴り込んでやる。

←前|次→
目次|
inserted by FC2 system