■増幅師(3)

「…ところでお前本当に増幅の魔法以外使えないのか?補助とか…防御とかでも良いんだが…」
「…最初に言った通りです。期待しないでください」
彼女は呆れ返るほど早く即答する。

「…ダメ元で炎で攻撃してみるか?」
「それで倒せれば苦労はないんですけどねぇ…」
「…どうもお前の口調は勘に触るんだよな」
「気にしない事です。では、試しにニルさん…魔法を…お願いします」
「ああ…」
オレは指先に種火を出した。彼女はそれに呪文をのせる。

炎がゴーレムめがけて伸び、そいつに集中的にあたる。当たっているところから湯気が出てかなり熱くはなっているのだが…

──まるっきり効いていない。

どころか…逆にオレが近寄りにくくなった気がする。

彼女はため息をして冷たく一言。
「ニルさんが使える魔法がせめて水系の魔法でしたら
それで砕くとか切る事が出来たんでしょうけどねぇ…」

やかましい。

オレは剣を抜き舌打ちをした。
「…仕方ねえな。んじゃ行って来る。逃んじゃねえぞ」
「はい…ご武運をお祈りします」

…何かの役に立つかと連れてきたが…雇うんじゃなかった


オレはゴーレムに気づかれないように近寄った。ヤツは目の前の障害物をなぎ倒すのに一生懸命でオレの事には気づいていないようだ。

しかし…
魔法なんぞ使わなければ良かった。ヤツに近寄ると汗が滝のように出てくるぐらい熱いのだ。これで水をかけたらここら一帯サウナになるんじゃないだろうか…

…などとどうでもいい事を考えながら我慢をしつつ近寄って斬りつける。が、出来損ないのゴーレムでもストーンと名が付くだけあってオレの剣じゃびくともしねえ。逆に剣を折られて慌てて逃げ出す羽目になってしまった。

ヤツは斬りかかってきたオレを攻撃目標にしたらしくオレを追いゆっくりと移動する。ゴーレムが鈍足で助かった。

オレはシンシアの所に逃げ帰った。シンシアはオレがゴーレムに追われているのを見ると慌てて走り出した。

オレはシンシアに並んで走る。
「はぁ…はぁ…何でこっちに逃げてきたんですか?」
「…こっちが町から外れるからだ」
「何か対策は考えていらっしゃるんですよね?」
「…この辺には突き落とすような崖もないし…頭の上に石を落としても効果がなさそうだ。…走りながら考える」
「あああ…なんて無計画な」
「…と言う事だお前も一緒に考えてくれ」
「走るのに一生懸命で頭回りませんよ!」

←前|次→
目次|
inserted by FC2 system